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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第29回

プルデンシャル生命、勧誘時に虚偽説明と脱税指南か 契約者が契約無効申立と損害賠償請求を検討

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
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●完全実力主義で営業成績優秀な社員が多い

 プルデンシャルは、そのビジネス規模のみならず、人材面においても特筆すべきものがある。金融業界においては登録することが名誉とされる、卓越した生命保険と金融サービスの専門家による国際的組織「MDRT」の会員数も、日本の生命保険会社の中では最も多い。MDRT日本会全会員3680名のうち、837名がプルデンシャル、326名がジブラルタ生命の社員である(14年4月現在)。生保業界で日本一の規模である日本生命でさえ、全社員約7万人のうちMDRT会員は110名しかいない。それに対してプルデンシャルの社員数が約4600名であることを考えると、いかに優れた社員が多いかが垣間見える。

 ちなみにMDRTの入会資格は、生保会社によって差異はあるものの、1年間のうちに手数料ベースで約900万円の営業成績を挙げることで獲得できる。しかも資格は毎年更新されるため、常に高い営業成績を維持しなければいけないのだ。

 そのように優秀なプルデンシャルのライフプランナーは、すべて他業界からヘッドハンティングによって採用しており、同業界出身者は採用しない。ちなみに支社長や営業所長などの管理職以外は、会社と個別契約を交わした個人事業主のような立場であり、厳密には社員ではないといえる。

 彼らが会社に拘束されるのは、毎週月曜と木曜の午前に行われる定例ミーティングだけであり、あとは出社の必要すらない。その点では自由だといえるが、立場としては実に不安定な存在だ。固定給があるのは入社後2年目まで。年齢にもよるが、1年目は最低補償額が月30万円前後から始まり、数カ月後には月24万円、そしてこの金額は2年かけてゼロに近づいていく。成績上位者の年収は億を超える一方、収入の見込みが立たず数カ月で辞めていく人も少なくない完全実力主義の世界なのである。

●虚偽の説明で保険を勧誘

 そんなプルデンシャルをめぐり、同社商品の契約者が、契約無効の申し立てと損害賠償を検討する事態が起こっている。

 今回の被害者は、ソーシャルゲームの開発を手掛けるA社。代表のB氏は知人からの紹介により、プルデンシャル首都圏第二支社(当時)のC氏(部長職)、およびD氏からの営業を受けていた。

 このへんの事情をご存じの人もいるだろうが、法人で保険を契約する場合、その保険商品そのものの働きに期待するばかりでなく、節税効果を見込んでいることもある。例えば、おおいに単純化したケースを考えてみよう。

 1年間の営業の結果、1000万円の利益が出た会社があるとする。このままだと、法人税25.5%に加え、法人住民税、事業税、地方法人特別税などが徴収され、およそ380万円が税金として持っていかれてしまうことになる。

 ここで登場するのが保険だ。会社名義で保険をかければ、保険料は損金扱いとなり、利益から控除できる。仮に掛け金800万円の保険を契約すると、会社の最終利益は200万円となる。その場合の法人税率は15%となり、利益額に合わせてその他の税率も低くなるので、最終的に支払う税金は45万円くらいで済んでしまうのだ。

 保険をひとつ契約するだけで、支払う税額が300万円以上も変わってしまうというのは大きい。またその保険商品にしても掛け捨てではなく積み立て型を選択し、いずれ保険会社から支払金や返戻金として戻ってくるタイプにしておけば、節税できるうえに最終的にお金が返ってくる。

 これと同様にA社も保険を節税に使う目的であった。B氏がプルデンシャルの営業員から提案されたのは「養老保険の名義変更による短期収束プラン」というもので、概要は以下のとおりである。

・養老保険の中でも、満期の受取人を被保険者、死亡受取人を法人に変えた「逆ハーフタックスプラン」という商品
・養老保険の掛け金は全額損金にでき、節税効果がある
・毎年支払う保険金の50%は「給与」として計上されるので、所得税がかかる。
・支払いを続けていくと、計算上6年後には返戻率が9割を超えるので、その時点で「払い済み」にする
・普通の定期保険の場合は、「払い済み」にした時点で利益確定してしまうが、養老保険の場合は利益にならない
・払い済みにした後は、名義を会社から個人に変更する。これによって、解約した際も利益にならない。あとは必要な時に少しずつ解約して現金に換えていけばよい

 B氏はこの提案を受け、09年にプルデンシャルの養老保険を契約した。A社とその関連会社合わせて年間掛け金は2500万円近くになる大口の契約だった。結果としてB氏とA社は、C氏とD氏、および後述する同社営業員E氏の提案に従い、その後4年間にわたって約1億円分の掛け金を支払った。

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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