ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 農地、有効利用は半分以下?  > 2ページ目
NEW

農地、有効利用は半分以下?解消策「農地バンク」と、新規就農&輸出増に必要な施策とは

構成=安積明子/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

 管理機構はその業務を市町村に委託することができますが、埼玉では滑川市や日高市、深谷市ですでに実施されています。貸付率に応じて市町村に支給される集積奨励金の金額が上がる仕組みになっていますから、貸付増加へのモチベーション上昇につながります。

農家の所得を安定させる

農業の担い手側に対する施策には、どのようなものがありますか?

西田実仁氏(以下、西田) これまでも新規の就農を支援するための「青年就農給付金」の制度がありましたが、さらに本年度から「青年等就農資金」が導入されています。これは45歳以下の新規就農者に対し、農業経営に必要な機械や施設の購入費用として3700万円を限度に無担保・無利子で貸し付けるものです。

 しかし農業を経営する上で本当に重要なことは、所得の安定です。そのために本年度に3億円の調査費が付いたのが「収入保険制度」です。これまでのJA共済は、災害で収穫が減った場合、その減少分について補償をしていました。ところが品目によっては過去の収穫量が測れないものもあり、そういうものについては補償できませんでした。

 そこで農業の収入に注目し、減少した部分を補てんするというのがこの制度です。特徴的なのは、野菜や果樹、さらには花卉園芸にも及ぶことです。これは民主党の所得補償制度にはなかった制度で、画期的なものだと思います。本年度から3年かけて調査した上で、2017年には「都市農業振興法(仮称)」を成立させたい。そのために今秋に連立与党を組む自民党と一緒にやるかどうか話し合います。

●農産物と和食を一体化して海外展開

–Gモードで考える農業について教えてください。

西田実仁氏(以下、西田) これについて考えるためは、まず「国家的な戦略」をはっきりと持たなくてはいけません。日本の農産物がいかに安全で美味しいかを世界に知らしめるという目的を明らかにする必要があります。13年12月、伝統的な日本の食文化がユネスコ無形文化遺産に認定されました。和食の素晴らしさが世界に認められたわけですが、その素晴らしさを支えているのはほかならぬ、日本の農産物なのです。食に四季折々の彩りを加え、その味わいに季節感を醸し出す。それは、他の国の農産物ではとうてい実現できません。

 そんな日本の農産物と和食を一体化して海外に売り出せば、日本の農産物の素晴らしさが世界に広まることは間違いありません。実際にブランド米や高級果物は、いくら高価でも海外で売れています。日本の農業はこれからですよ。「緑の底力」は「日本の底力」。この2つの力をつなげていくことで、日本は必ず再生すると信じています。
(構成=安積明子/ジャーナリスト)

農地、有効利用は半分以下?解消策「農地バンク」と、新規就農&輸出増に必要な施策とはのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!