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碓井広義「ひとことでは言えない」(10 月15日)

ローカル局が熱い?活発化するテレビの挑戦 視聴率競争とは一線、地域と併走する意欲的試み

文=碓井広義/上智大学教授
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●ヒューマニズムに訴え続けた20年~日中韓共同制作による相互理解~(福井テレビ

 ローカル局と海外の放送局との共同制作は決して珍しくない。だが、それを20年間続けているケースは稀有であり、おそらく大変な努力が必要だったはずだ。しかも、近年、国と国の間に様々な課題が発生している中国と韓国がパートナーである。

 政治や外交の問題に踏み込めば困難だった共同制作を、相互理解を目標に、ヒューマンと文化に徹することで実現してきた。そこから、いわば潤滑油のような効果が生まれ、地域ならではの国際交流にまで発展している。

 ビジネスという側面だけでは測れない意義や価値を大切にし、この取り組みを継続しようとする姿勢を評価したい。

●報道キャンペーン「暮らしの防災」と、防災・減災を伝える放送外活動(名古屋テレビ)

 東日本大震災以来、全国の放送局が、地域の「防災・減災」に関する活動を一層強化している。その中で名古屋テレビの事績が突出しているのはなぜか。端的に言えば、「南海トラフ地震は起きる」という覚悟であり、ハラのくくり方である。

「来るかもしれない」ではなく、「かならず来る」を前提とした取り組みは、極めて具体的かつ生活密着型だ。しかも、防災・減災を暮らしに取り込む「平時の備え」の大切さを、放送だけではない多様な手法で繰り返し伝えている。地域の放送局として、真剣に地域住民の命と財産を守ろうとする決意がそこにある。
(文=碓井広義/上智大学教授)

碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

1955(昭和30)年、長野県生まれ。メディア文化評論家。2020(令和2)年3月まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。慶應義塾大学法学部政治学科卒。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年、テレビマンユニオンに参加、以後20年間ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に『人間ドキュメント 夏目雅子物語』など。著書に『テレビの教科書』、『ドラマへの遺言』(倉本聰との共著)など、編著に『倉本聰の言葉――ドラマの中の名言』がある。

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