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バブルのニュースアプリは“ただ乗り”?大量資金投入も、継続可能性に疑念の見方も

文=松井克明/CFP

 つまり、成長性への期待から投資が集まるが、持続可能なビジネスモデル構築までは至っていないのがニュースアプリなのだ。実際に、インターネットで拡散させられる記事を書ける記者を抱えるようになったら、コストが大きく膨らむのだ。

 例えば、独立系の言論サイト、アゴラ研究所は月間700万ページビューあるが、「アゴラの収入は月100万円程度で、これでは記者1人分の人件費も賄えない。効率の悪いビジネスだ」という池田信夫(アゴラ研究所代表取締役)の声を紹介している(特集記事『インタビュー ネットでは言論も無料に 集客ツールと割り切れ』)。

●雑誌メディアも転換期に突入か?

 今回、メディアの転換期を活写した特集だが、当の「東洋経済」自体が動乱の真っただ中にいる。実は、今夏、同誌編集部の2人のエースが外部流出してしまったのだ。東洋経済オンラインの編集長だった佐々木紀彦氏が経済ニュースに特化したNewsPicksの編集長に、エース記者の風間直樹氏が朝日新聞社に、それぞれ電撃移籍した。

 確かに昨年から上層部が一新し、同誌発行元である東洋経済新報社は経費節減に余念がない。IT化に乗り遅れた「会社四季報」などのデータベースコストが重荷になりつつあるのだ。

 佐々木氏は、東洋経済オンラインのリニューアルに貢献したことが評価されての移籍だが、そもそも東洋経済オンラインのニュースの多くは「会社四季報」と「東洋経済」の記者の人脈で集めてきた、それこそ同社だからこそできたニュースだった。この先、佐々木氏がどう出るのか、注目されている。

 また、風間氏は『雇用融解―これが新しい「日本型雇用」なのか』などの著書もある労働問題のエースだ。従軍慰安婦に関する一連の騒動が明らかになる直前に、朝日新聞特別報道部へ移籍したが、これまでのような雑誌的な取材手法には制限が出てくるのではないか。

 しかも、これまで経済誌は、待遇も経費もリストラ一辺倒の毎日新聞や産経新聞から、実績や意欲のある記者の移籍先となるケースが多かったのだが、今回はその移籍先であるはずの経済誌からの人材流出とあり、しかも一人は新興メディア・ニュースアプリ、また一人は既存メディア、しかも渦中の朝日新聞への移籍とあって、出版関係者の間では興味津々なのだ。雑誌メディアも動乱の渦中ということかもしれない。
(文=松井克明/CFP)

松井克明/CFP

松井克明/CFP

青森明の星短期大学 子ども福祉未来学科コミュニティ福祉専攻 准教授、行政書士・1級FP技能士/CFP

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