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ワンピース扉絵画像拡散は犯罪?作品内容をネットで拡散、画バレは賠償責任の恐れ

文=エースラッシュ
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ワンピース扉絵画像拡散は犯罪?作品内容をネットで拡散、画バレは賠償責任の恐れの画像1「週刊少年ジャンプ」(集英社)第50号(「週刊所運ジャンプ 公式サイト」より
週刊少年ジャンプ」(集英社)の人気連載漫画『NARUTO-ナルト-』(岸本斉史)が、2014年11月10日発売の第50号をもって15年にわたる連載を終了した。珍しいことに、この終了については約1カ月前に公式に告知された。

 その最終回が掲載される前週、『NARUTO』の連載終了に寄せて、同じく「ジャンプ」に連載されている人気漫画『ONE PIECE』(尾田栄一郎)の扉絵に仕掛けがある、という話題がTwitterを中心にインターネット上で一気に拡散された。その仕掛け自体が秀逸であることや、一時代を築いた人気漫画の終了に対する感傷などもあり、他人に教えたくなる気持ちはよくわかる。

 しかし、その共有の方法と時期には大きな問題があった。「ジャンプ」の発売前に、扉絵の写真が公開されていたのだ。仮に権利者である集英社が訴えれば、その写真をアップロードした人には前科がつくほどの犯罪行為なのだ。

「ネタバレ」や「雑誌写メ」は著作権侵害

 雑誌や漫画、映画、舞台には著作権がある。もっと簡単にいえば、有形、無形を問わず、制作者が権利を持っている。そうした制作された作品について“ネタバレ”(作品の情報を暴露)することは、著作権侵害になる。

 もちろん、あらゆるネタバレがNGだというわけではない。マナーとしては問題であっても、権利侵害にまでは至らない場合もある。例えば「あの推理小説の犯人はAだ」と言うだけなら、著作権侵害とはいえないだろう。

 しかし、作品の筋立てや重要な台詞などについて詳細に語ることは危険だ。漫画についても、「A校とB校の試合ではA校の勝ち」と話す程度ならば問題にならないだろうが、細かい試合運びや登場人物の台詞にまで言及したり、文章で説明すれば極めてアウトに近い。

 内容を直接話したり文章にしていなくても、一部を撮影してネットに流すことは著作権を侵害している可能性が高い。アイドルの写真などをパソコンやスマートフォンに取り込み、TwitterやFacebookのアイコンに設定している人もいるが、これも厳密には著作権侵害で、万一訴えられたら勝ち目は少ない。

特に悪質な画バレも横行

 人気のある漫画、特に週刊誌に載っている少年漫画について、発売日前に内容を公開してしまう「早バレ」は、かなり古くから行われていたが、ネットが普及してからは急速に拡大している。それはいくつかのパターンに分けられ、最も悪質なのは、実際の画像を添えてネット上の交流サイト(SNS)などに広める「画バレ」と呼ばれるものだ。

 その画像は、どこから流出するのか。発売日の1~2日前には販売店舗には届いているため、契約を守らずに売り出す店は昔からあり、そこで入手して画像を流出させている人もいるだろう。ただし、「早売り」と呼ばれる、この販売方法によって流出するのは、せいぜい正規の発売より1日早い程度のはずだ。

 しかし、もっと早い段階で流出している場合があり、これは関係業者内部の犯行と考えられる。13年10月には、運送会社のアルバイト従業員が、配送処理中に雑誌の写真を撮って公開したとして逮捕されている。配送や印刷など、いくつかの段階で関係者が流出させている例も多く、中には海外版の制作現場から流出していることもある。このような場合、本来毎週月曜日に発売される「ジャンプ」の内容が前週半ばに流出することもある。

 発売前の段階で画像として流出すれば、雑誌を購入しない人も出てくるだろう。ネットが普及した現在、1人が画像を流せば数万人、数十万人という規模で閲覧されてしまうのだ。著作権の問題に限らず、本来売れるはずの雑誌が売れなかったとすれば、賠償責任を負うべき問題といえ、ネタバレ行為の中で最も悪質という理由はそこにある。

発信してよい情報とは

 そこで、自分が発信してよい、または拡散してよいもののラインを知っておこう。まず画像だが、基本的には発売済みの雑誌の表紙や、特典の外装などのみOKと考えておけば間違いないだろう。書店やネット通販サイトなど、誰でも目にすることができる画像であれば、それを公開したところで権利を侵害したとはいえないからだ。ただし、自分が購入したものに限ったほうがいいだろう。店頭で撮影するのは控えるべきだ。

 中身については、自分の感想にとどめることがポイントだ。あらすじや台詞を引用するのではなく、読んだ自分がどう思ったかであれば発信してよい。要するに、購入していない人に中身の詳細を教えなければよいのだ。

 現実には発売後で、本人が購入したものならば、中の1ページ分が写真でアップロードされていたとしても、それをもって出版社から訴えられる可能性は低いが、それは単に出版社が「お目こぼし」しているにすぎない。特定の作品について言及するならば、自分の文章を読んだ人が、「中身はわかったから、もう買わない」と思うような書き方ではなく、「気になるから、自分でも買ってみよう」と感じるような書き方が理想的だ。

拡散する前に確認を

 冒頭に挙げた『NARUTO』最終回については、それが発売前であるということに気づかずに拡散させた人も多かっただろう。長期間連載されていた作品だけに、今は「ジャンプ」を読まなくなった人も、懐かしさからリツイートやシェアボタンを押したケースもあると思う。しかしそれは、被害を拡大させる行為だ。

 拡散してよい情報かどうかわからない場合は、見て楽しむだけにとどめ、拡散しないほうが無難だ。ぜひ拡散したいと思った場合でも、まず公式サイトなどで公開してよい情報か確認するクセをつけよう。ちなみに、「まとめサイト」に載っている情報だからと安心してはいけない。まとめサイト自体も著作権侵害でいつ訴えられてもおかしくない存在だからだ。

 だいたい最初に情報を流す人は、アンダーグラウンドなコミュニティで言うところの「神」になりたいタイプだ。「良い情報をくれた」と、もてはやされることを目的にしており、拡散することは、その人物を助長させ、次の犯罪行為を促すことにもつながる。

 また、著作権法違反の情報を拡散する行為は、楽しいはずのネット利用が犯罪によってよくない結果をもたらすきっかけにもなりかねないのだ。一瞬の「面白い」に踊らされないように注意したい。
(文=エースラッシュ)

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