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勝ち組の代名詞が、初の赤字転落で迷走中

ソニーの二の舞い、任天堂復活のカギはローテクとマリオ?

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ソニーの二の舞い、任天堂復活のカギはローテクとマリオ?の画像1生誕から約25年たつマリオは今も健在。
(「任天堂HP」より)
 超優良企業・任天堂が、3月期連結決算で赤字転落した。売上高は前期比36%減の6476億円、営業損益は373億円の赤字、純損益は432億円の赤字である。同社にとって1962年の上場以来、50年目で初めての赤字決算である。

 赤字転落最大の要因は、同社が「これからは3D(3次元)の時代」(岩田聡社長)という掛け声の下、「DS」の後継機として開発し、11年2月に発売した「3DS」の深刻な販売不振にあった。「3DS」は発売当初こそ好調な滑り出しであった。しかし、東日本大震災の発生で状況は一変し、自粛ム-ドや円高の影響もあって消費意欲は一気に低迷した。

 そこで、同社は販売てこ入れ策として『モンスタ-ハンタ-3G』などの人気ソフトを投入、また大幅な値下げを行った。確かに値下げ効果で販売は一時的に回復したが、想定外の事態が起こった。売れれば売れるほど赤字になる逆ザヤ状態に陥り、赤字幅は拡大していったのである。

 任天堂は、04年に携帯型ゲ-ム機「ニンテンド-DS(Dual Screen)」、06年に家庭用据え置き型ゲ-ム「Wii」という新製品を世界各国で発売して、大ヒットさせた。これらの製品は、画面を2つ持つダブルスクリ-ン(DS)、タッチペンで操作できるタッチスクリ-ン(同)、マイクによる音声入力など、これまでにない斬新なアイデアによるユ-ザーインタフェ-スの充実が大きな特色であった。

 これにより、従来ゲ-ムに馴染みの薄かった女性や熟年層にまで、ゲ-ム人口を拡大した。その後、同社は

・06年:「ニンテンド-DS Lite」
・08年:「ニンテンド-DSi」
・09年:「ニンテンド-DSi ll」

など、次々とヒット製品を登場させて大成功を収めた。それに伴い、同社の売上高もうなぎ上りに上昇した。06年3月期に5092億円に達して以降、

・07年:9655億円
・08年:1兆6724億円
・09年:1兆8386億円

と、ついに2兆円に迫った。同社は短期間のうちに一気に超優良企業にまで上り詰め、グロ-バル企業の仲間入りかと思われた。

「技術競争」という罠

 ところが、この急激な販売拡大と急成長には大きな落し穴があった。「DS」や「Wii」の大成功により、同社の経営陣は拡大戦略に基づくビジネスモデルが未来永劫続くと考えた。この経営判断のミスが致命的となる。それが端的に表れたのが「3DS」の開発戦略である。

「3DS」では、「DS」や「Wii」との差別化を意識し、3D機能の開発を強化し、あれもこれもと多くの機能を詰め込み「高機能・多機能」路線を突っ走った。

BusinessJournal編集部

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