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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(9月第4週)

創価大学が政官財に人材を輩出!?

文=松井克明/CFP
post_752.jpg(左)「東洋経済 9/29号」
(右)「週刊ダイヤモンド  9/29号」

「週刊東洋経済 9/29号」の大特集は『中国炎上 深まる体制の矛盾 どうする日本企業』だ。中国での反日感情の高まりは現実のリスクとして企業を襲った。指導部交代を10月に控える中国でいったい何が起きているのかに迫った、共産党の内幕からネット最新事情まで総力52ページだ。

 実は「週刊ダイヤモンド 9/29号」でも緊急特集『「日中関係」緊迫! 経済封鎖ならこれだけのダメージ 中国が恐れる反政府への飛び火』を組んでいる。そこで両誌を比較してみたい。週刊ダイヤモンドは7ページの特集で、主に日本企業への影響を取り上げている。中国に進出する日系企業は、09年末には2万2000社を突破。推計では2万5000社に達している。合併企業を含む日系企業の直接雇用者は100万人を超えて、これらに関連する企業までを含めた雇用者数は1000万人に及ぶとの試算もある。

 尖閣諸島をめぐり、中国側の機関紙では経済制裁の言葉まで踊るが実際に経済制裁を行なえば、多くの日系企業は税金を納め、技術移転もし、雇用を生み出す。一部でも縮小すれば中国は必ず痛いしっぺ返しを受けるという。

 一方の週刊東洋経済は中国経済のきしみを解説している。『PART1 深まる体制の矛盾』では、経済成長を正統性の根拠としてきた開発独裁体制が揺らいでいる。5年に一度の共産党大会が開かれる年には中国の景気が上向くといわれていたが、今回は、経済成長率は通年でも8%を割る可能性が高い。

 いま、中国の経済界で注目を集めているのは、リーマンショック後の2009年初めに打ち出した総額4兆元の公共事業を超える、10兆元プロジェクトだ。内陸都市開発の推進で地方政府の投資計画は累計10兆元を超えるという。この公共事業が呼び水となって、景気回復を期待したいところだ。

 ただし、09年の10兆元プロジェクトでは、公共事業の受け皿のほとんどが国有企業だったことから民営企業が割りを食う「国進民退」という状況が加速した。また、投資主導から消費主導への構造転換が求められているにもかかわらず、従来型の産業を温存させるだけになってしまった。このため、民営企業のなかには破綻した企業もあり、中央政府の政策への不満が高まっているのが実情だ。

蒼井そら、日中関係を語る

 ただ、中国には共産党員でない限り選挙権がない。政治的な働きかけをするとすればデモなどの直接行動か、「微博(ウェイボー)」などのインターネットだ。

 微博(ウェイボー)は中国でいま猛烈な勢いで影響力を増しているミニブログ。当局の規制でツイッターなどが使えない中国では、若者を中心にこの微博が拡大。アカウントは4億人以上が持つとされている(書き込める文字数はツイッターと同じ140文字)。商品のPRやイメージ広告にも使用されるが、既成メディアにはないニュースを伝え合う役割も果たしているという。

 なかでも人気・影響力があるのが「新浪微博(シナウェイボー)」だ。日本企業のキャノンなども積極的な活用に乗り出しており、流行に敏感な若者のブランド好感度を高めるのに最適なメディアだと評価する。

 そして、この新浪微博でのフォロワー数1300万人(全体の32位)、中国でもっとも有名な日本人とされているのがAV女優の蒼井そらだ。2年前につぶやきはじめて、気取らない身辺雑記が若者の共感を呼んでいるのだという。

「日本」と名の付くものの多くがバッシング対象になるなか、蒼井のフォロワー数は減少せず、ネットユーザーからは「釣魚台(尖閣諸島の中国名)は中国のもの。蒼井そらは世界のもの」との声があがった。こうした現象を英経済週刊紙「エコノミスト」最新版では「蒼井そら現象」として紹介しているほどだ。今回、東洋経済は蒼井そらにインタビュー行ない、微博で発信する上での心得を3つあげてもらっている。

 1つは「今日は何してました? みたいなことを聞くと、結構返事が来ます。みんな交流したいんだなって思います」。

 2つめは「絶対に写真を付けるようにしています。言葉で伝えきれないこともあるので、何でもない写真でもそれだけでイメージがわきます」。

 3つめは「絶対に落ち込んでいるところを見せない(笑)。落ち込んでいる様子だと、すごく心配されます。マイナスイメージより、ポジティブでプラスのイメージのほうがいいです」

 とのことだ。失敗談としては「去年、ライブに行って『超開心』(超ハッピー)と書いたら、それが9月18日(満州事変のきっかけとなった柳条湖事件の日)だったので、すごくたたかれちゃいました。こういう経験が、これから微博をやる日本の人たちの参考になればいいなとは思ってます」と語る。蒼井そらのゆる~いスタンスを見ていると、肩肘をはってナショナリズムを叫ぶことがなんだか面倒くさくなってくるではないか。

学生獲得力は、地方の専門系大学が高得点

「週刊ダイヤモンド 9/29号」の特集は『大学全比較 教育力、就職力、ブランド力』。18歳人口がピークを迎え、入学定員が入学希望者を上回る「全入時代」に突入した大学。選ばなければ誰でも入れる状況なだけに、大学側の学生獲得競争は激化する。今回、教育力、就職力、学生獲得力という3つの基準で大学を徹底比較した特集だ。

 総合力の上位は1位・東京大学、2位・京都大学、3位・東北大学、4位・大阪大学、5位・名古屋大学と国立大学が独占だ。ただし、「教育の国際化」をかかげた東京大学がぶち上げた2017年秋入学導入は視界不良になっている。秋入学の旗振り役だった浜田純一・東大総長は15年には任期満了で退任。教養学部の教授会が事実上の反対を表明するなど、実現するかは不透明になっている。英「タイムズ」誌が作成した世界大学ランキングで26位(2010年)という東大の地位もあやうくなりそうだ(『Part1 ガラパゴス化する大学教育』))。

 教育力の上位は、1位・東京大学、2位・東京工業大学、3位・東北大学、4位・京都大学、5位・大阪大学と国立大学が独占だ。東京工業大学は教育研究費充実率(教育研究経費を学生納付金で割ったもの)、教育研究力(科学研究費補助金と学術研究助成基金を専任教員数で割ったもの)が高いために上位になった。

 就職力の上位は、1位・京都大学、2位・慶應義塾大学、3位・東京大学、4位・中央大学、5位・早稲田大学と有名私大がランクインした。就職力には就職率のほか公務員就職率、上場企業役員数なども加味した結果になっている。  

 そして学生獲得力ランキングは……、なっ、ないのだ。なぜか掲載されていないのだ。 「学生獲得力」の解説を見ると、志願倍率と志願者数の増減率を見たもので、「とくに看護学部や農学部といった近年の人気学部が強い大学は得点が高くなっている。ただ、学部をいくつも受験できるような大学は得点が高くなる傾向があるため他よりも配点を小さくした」とある(『Part5 偏差値に頼らない大学選び』)。

「総合力」をランキングしているのに、その3基準の1つ、「学生獲得力」のランキングを掲載しないってどういうことよ! と、後半のページに一挙掲載されたダイヤモンド誌お得意の「全国560大学総合ランキング」のなかから細かく該当する大学をひろってみると、「学生獲得力」は20点満点で20点満点をとった大学は、群馬医療福祉大学、高崎健康福祉大学、高知工科大学、国際教養大学(秋田県)、幾央大学(奈良県)、鳥取環境大学、摂南大学(大阪府)、明星大学、千葉工業大学といった大学名が見つかった(総合力が高い順)。

 うーん、たしかに地味なランキングになってしまう。この結果にどう解説するかを悩んだ編集部が目に浮かぶ……。表紙では「教育力、就職力、ブランド力」と謳っているのに記事では、ブランド力が学生獲得力に変更されたのも何か影響していそう。

 しかし、こういったランキングほどその意味を分析するのが、ランキング好きのダイヤモンド編集部の強みではないのか。分析もあってこそ、「総合力」ランキングの真実味が増すというものだろう。

 ただし、読み応えのある記事もある。『偏差値で測定不能な唯一の存在 政財官に深く進出する創価大学』という創価大学の秘密に迫った記事だ。多くの私立大学が学生集めに苦しむ昨今、絶対的な固定ファン(創価学会の学会員)に支えられているのが創価大学だ。創価大学の偏差値自体は文系学部で47.5~50と、いわゆる「日東駒専」から1ランク下がるレベルだ。

 しかし、開成高校を主席で卒業し、東大を蹴ってまで入学する学生がいるほど、多様な人材が集まってくる。「偏差値のばらつきが大きく、教育の効率は悪い。どの層に絞って講義をするべきかが教員共通の悩み」と副学長が話すほどだ。学生たちの共通点は入試事務室課長が「創価大ファン」と呼ぶ創価学会の学会員であるという点だ。

 創価大の入学要件に学会員であることは含まれておらず、その割合を調べてこともないというが、「学生寮の7~8割の部屋から、朝晩の熱心なお祈りの声が聞こえてくる」という。

 こうした学生は法曹界や教育界に多数輩出される。

 創価大学のOB組織に所属する政治家は現職国会議員だけでも9人。地方議員は455人。すべてが公明党員で、公明党のなかでは創価大学卒が一番のエリートとされているという。

 国家試験では司法試験では今年度12人が合格、これまでに219人を輩出している。国家公務員試験にも重点を置き、教員採用試験では毎年200人以上を教員として送り出す。その数は合計6000人を超えるという。しかも、創価大生は他大の学生が敬遠する寒冷地や、離島でも喜んで赴任するために教員不足に悩む自治体から重宝されているのだ。

 また民間企業への就職も外資系や国内一流企業が並ぶ。これは創価大学との取引関係などから生まれた単なる「学会枠」のほかに、他大生にはない愛校心があるためだという。

 ある年の就職活動合宿では「今年は就職人気がきわめて高いあの会社を落とそう!」と怪気炎をあげて、合宿参加者全員がその企業へのエントリーシートを書き始める。このターゲットとなった企業では、それまで創価大生の過去の内定者はゼロどころか、この年も誰も面接まで進めなかったが、毎年、全員がエントリーシートを応募。翌々年には、面接に進み出すものが現れ、4年目には二人の内定者を出すに至ったという。

 この自己犠牲の精神が創価大学の人気を支えているものだというのだ。昔、筆者が住んでいたアパートの隣室から朝晩、熱心なお祈りの声が聞こえてきて辟易したものだったが、こうした精神がこの宗教を支えているともいうことができるだろう。
(文=松井克明/CFP)

松井克明/CFP

松井克明/CFP

青森明の星短期大学 子ども福祉未来学科コミュニティ福祉専攻 准教授、行政書士・1級FP技能士/CFP

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