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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(10月第4週)

就職超氷河期に就職率100%の大学も! 本当に進学すべき大学

post_921.jpg(左)東洋経済10/27号
(右)週刊ダイヤモンド10/27号
「週刊ダイヤモンド 10/27号」の特集は、『頼れる病院 消える病院』。こちらもなんと『特別保存版 全国1196病院都道府県別ランキング』を掲載しているのだ。こちらは「医療の機能」と「経営状態」を指数化したランキングで、全国での売上アップを狙う。

 総合ランキングの1位は横浜市立大学市民総合医療センター、2位・広島大学病院、同率2位・聖路加国際病院(東京都)、同率2位・東海大学病院(神奈川県)、5位・関西医科大学枚方病院、同率5位・済生会熊本病院、同率5位・順天堂大学順天堂病院(東京都)と続く。やはり、病床数や医師、看護師の数が多く、設備が充実している大学病院が上位になった。

 民間病院に限ったランキングでは、1位・聖路加国際病院、2位・川崎幸病院、3位・手稲渓仁会病院(北海道)、4位・倉敷中央病院、同率4位・府中病院(大阪府)、6位・亀田総合病院(千葉県)、同率6位・高槻病院、同率6位・湘南鎌倉総合病院と続く。

 ブランド病院の代表・聖路加に続くのは、病院グループの中核病院ばかりだ。2位の川崎幸病院は石心会グループ。3位の手稲渓仁会病院はセコム医療システム提携病院グループ。4位の府中病院は生長会グループ。6位の湘南鎌倉総合病院は日本最大の病院グループである徳洲会の主要病院だ。病院はグループが進んでおり、スケールメリットをいかした合理化経営によって徳洲会はなんと利益率2ケタをたたき出しているほどだ。

 今回の売りは『都道府県別 全国1196病院 頼れる病院ランキング』だ。毎年恒例となっているこの企画は、医療機能の指標に4つの経営指標を加えて、総合的に「頼れる病院」を評価しているのだ。あなたが住む地域の「頼れる病院」はどこなのか? という視点での企画なのだが、しかし、都道府県別というくくりだけのランキングでさらに各病院の住所がまったく書かれていないので、不親切。そのエリアに土地勘がないものが見ても、地図を掲載して、その地図にマッピングをし、偏在しているかどうかなどがわかるような工夫がほしいところだった。

 そういった意味では、各大学の住所までしっかりと載せている東洋経済の大学四季報が読みやすい。次回は東洋経済の病院四季報に期待したい。今回は四季報ブランドを持ち、マニアックな東洋経済に軍配があがる。

●石原新党スポンサーの現在

 ダイヤモンドの記事で“期せずして”好タイミングな記事になったのが、「巨大病院グループ トップ群像 インタビュー」だ。病院はなぜ大型化するのか。大型化は患者に何をもたらすのか。国内病院グループの2強である徳洲会グループと中央医科3グループのそれぞれのトップに大型化の意味を問うた記事だ。

 このなかで、医療法人徳洲会理事長の徳田虎雄氏がインタビューに登場しているのだ。徳田理事長は鹿児島県徳之島町出身で、「生命(いのち)だけは平等だ!!」をスローガンに、地方自治体や医師会とたびたび対立しながらも、全国各地に病院や診療所を開設した。離島や僻地医療にも並々ならぬ意欲を注いできた。

 かつては政党・自由連合の国会議員として活躍していたが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病に見舞われ、体を動かすこともできなければ、人工呼吸器をはずすこともできない生活なのだ。今回の取材もその発言は文字盤を介した目線による動きで応じたものだ。

 今回の「病院よ、甘えるな!」というインタビューによれば、「(政治活動から離れた現状は)ますます頭は冴え渡り、病院経営と医療の仕事に専念できている」という。徳洲会は全国で66病院、総施設は430、1万5469床という日本最大の病院グループになったが、「救急患者は断らない」をスローガンにする一方、徹底したコスト削減で高収益を上げているのだ。

「自治体病院の多くは『医療は金もうけではない』という口実で経営をサボっている。やがて人口は減るのだから、民間病院を含め、10年後、20年後には成り立たなくなる病院が増えるだろう」と冷徹な視点を持ち、「徳洲会のような民間病院では、自治体病院のように補助金はもらえない。徳洲会が力を入れている離島・僻地や発展途上国の医療を継続するには厳しい経営を行なってその費用を自前で捻出するしかない」と経営の秘訣を語っている。

 病院経営の今後については「今後は自治体病院の運営や買収を増やしたいとは思わない。徳洲会では今後5年間で約30病院の建て替えを控えており、専念すべき課題が多いからだ」と語る。「ただし、例外がある。その病院が地域に必要とされ、引き受け手が必要である場合だ。このような条件で頼まれれば、徳洲会が手を挙げることもあるだろう」と語るところは、往年の勢いが健在だ。  実は、徳田氏は最近新党結成をぶちあげた石原慎太郎氏のスポンサーの1人だった人物。石原氏の都知事選立候補から、その後何度かの石原新党構想に深くかかわっていたとされる人物なのだ。

 10月になって、石原氏はやっと新党を立ちあげたが、徳田氏には石原氏の動きはどう見えているのだろうか?

●あまりにもマニアックな大学四季報

 一方の「週刊東洋経済 10/27号」の大特集は「本当に強い大学2012 日本の大学トップ300」だ。今回は全国の大学の就職率、難易度、財務力の3大ランキングを掲載することで、日本全国の大学関係者に買ってもらおうという魂胆だろう。

 2012年版「本当に強い大学」総合ランキングは1位・東京大学、2位・京都大学、3位・慶応義塾大学、4位・豊田工業大学、5位・大阪大学、6位・東北大学、7位・早稲田大学、8位・名古屋大学、9位・東京工業大学、同率9位・東京電機大学という順だった。上位はほぼ前年と同様の顔ぶれだ。

 4位の豊田工業大学はトヨタ自動車が設立した大学で100%の就職率を誇っている。トヨタなどからの寄付金も財務力をアップさせた。また、同率9位の東京電機大学は、昨年は83位だったが、東京神田キャンパス土地売却による資産売却差額507億円を計上し、財務力が大幅アップして、急上昇ランクインだ。

 また、16位には海外留学に積極的な国際教養大学が圏外からランクイン、国際教養大学は、トヨタ自動車やソニーといった主要企業にどれだけの割合で就職しているのかを見た「主要企業402社への就職率」が52%と慶応義塾大学(40・8%)、京都大学(32・4%)、東京大学(26・1%)を上回り、1位・一橋大学(54・5% 一橋大学の総合ランキングは12位)、2位・東京工業大学(53・9%)に肉薄する3位となっているのが注目だ。

 特集記事としては『Part1 グローバル時代の大学選び 世界競争』で日本の学生の内向き傾向を嘆きつつ、最近「費用を抑えられる留学先」として注目を浴びている米国のコミュニティカレッジ(通称コミカレ)を紹介している。コミカレは全米に1100校ある公立の2年制大学で、日本円にして計140~180万円程度しかかからないというのがポイントだ。円高の今、地方の学生であれば上京して東京の大学に通うより、安くすみそうだ。

『Part2 変わり始めた日本の大学』では東京大学の「秋入学構想」、文部科学省の「大学改革実行プラン」などグローバル化対応への試みを紹介する。この中では、早稲田大学が一部で4学期(クオーター)制(4~6月の春学期、6~8月の夏学期という具合)を導入して、6月下旬ごろにはじまる欧米大学のサマースクールに参加しやすくするというのが話のネタに使えそうだ。

『Part3 世界に通用する学生を育てる』は、教育力、難易度、就職力といった切り口でランキングを紹介しつつ、さまざまな大学の試みを紹介する。ただ、東京エリアの大学のほかは、金沢工業大学、金沢星稜大学といった金沢エリア、流通経済大学(神戸市)、武庫川女子大学(西宮市)といった兵庫エリア、福岡工業大学、福岡女子大学といった福岡エリアなどの試みに限られているのが気にかかる。取材経費の関係や、販売促進や広告展開のかねあいでないことを祈ろう。

 しかし、今回、たかが定番モノ企画と侮れないのは、なんと特別付録に『国公私立全754大学の最新財務データ 2012年版 大学四季報』を付けているからだ。主要大学の11年3月期と12年3月期の決算データと経営指標を収録しているのだ。大学四季報の付録自体は毎年恒例だが、今回は私立583校、国立91校、公立80校の全大学の決算情報を網羅する試みに挑戦しているのだ。

 全大学ならではで、文部科学省から解散命令の出た群馬県高崎市の学校法人堀越学園が経営する創造学園大学も掲載されている。

 といってもデータの提供がなかったために、基本データしか掲載されていないのが残念だ。大学とまったく関係ない人間からすれば、「で、それで?」といったデータばかりなのだが、このデータ、各大学のアンケートを収集して、一覧化し、校正していく作業はとてつもない人件費がかかっているはずだ。各大学の校章まで細かく入れている手間のかかりぶり。後日、間違い発覚で、おわび連発とならないことを祈ろう。
(松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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『週刊 東洋経済 2012年 10/27号』 名前に頼らないいい大学はどこ。 amazon_associate_logo.jpg
『週刊 ダイヤモンド 2012年 10/27号』 ガンダムみたいな表紙。 amazon_associate_logo.jpg

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