このTDRの食品偽装問題が、ここにきて新たな展開を見せている。
11月23日付朝日新聞は、TDRが偽装公表からわずか1カ月後の7月1日に、食品偽装の詳細が記された「お詫び文」をHPから削除したことを報じた。そこには偽装に関する問い合わせ先電話番号も記載されていたが、それさえも閉鎖されてしまったという。TDR広報担当者は「報道されて情報が行き渡り、問い合わせも減ってきたため」と回答しているが、わずか1カ月で「情報が行き渡った」とは到底思えず、一刻も早くこの問題を葬り去りたいというTDRの思惑が透けて見える対応だ。
朝日新聞の報道では、偽装隠蔽としか思えないような事実も明らかにされている。TDR内の「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」で行われた結婚披露宴で、メニュー表記と異なる食材が約3万人にも及ぶ客に提供されていたのだが、ホテルを経営するミリアルリゾートホテルズはこの事実を一切公表していなかったのだという。TDRは自社の起こした一連の食品偽装について、社長の謝罪会見もせず、利用客への返金は1000円などという、阪神阪急ホテルズと比較しても不十分な対応に終始しているが、偽装隠蔽とも受け止められかねない動きまでしていたことが明らかとなった。
しかし、朝日新聞の報道以降、テレビ局のニュース番組やワイドショーは沈黙し、TDR追及の動きは広がりを見せていない。雑誌でも記事にしたのは唯一「週刊文春」(文藝春秋)が小さなコラムで紹介したくらいで、TDRはまたもや責任を追及されないまま逃げ切りそうな気配が濃厚だ。
「テレビと雑誌はTDRから莫大な広告をもらったり、取材させてもらっている関係で、悪口なんて書けない。TDRの不祥事が大々的に報道されることは、刑事事件にでもならない限りないでしょう」
大手出版社の編集者はこう話すが、実際、メディアとTDRの深い関係は想像以上だ。
例えば、講談社は東京ディズニーランド、東京ディズニーシーのオフィシャルスポンサーになっており、「ディズニーファン」という専門月刊誌、「東京ディズニーランドベストガイド」「東京ディズニーシー パーフェクトガイドブック」「東京ディズニーランド おまかせガイド」「子どもといく 東京ディズニーリゾート ナビブック」「東京ディズニーリゾート ハピネスガイドブック」など、年間10冊以上のディズニーガイドブックを出版している。これでは同社発行の「フライデー」や「週刊現代」にディズニー批判が載らないのも当然だろう。
●読売グループ、政治家との関係
また、TDRとメディアの間には、ビジネス上の利害関係にとどまらないもっと深い関係もあるといわれている。そのひとつが、TDRと読売グループ、政治家との関係だ。