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増加するオンライン面接、企業側の思惑は?選考精度向上、応募側はより競争厳しく

文=千葉優子/ライター
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増加するオンライン面接、企業側の思惑は?選考精度向上、応募側はより競争厳しくの画像1「Thinkstock」より
 企業の採用面接のオンライン化が進んでいる。応募者は、自宅のパソコンからウェブカメラなどを通じ、対面式で面接を行う。これまではSOHOや在宅ワークの採用で導入する例が一般的だったが、新卒・中途の正社員採用でもオンライン面接を行う企業が増えてきた。

 すでに米国では、オンライン化した面接システムが広く普及している。国土が広く、国内でも時差があるといった事情から、遠隔地に住む応募者の場合、面接のために飛行機で本社に出向かねばならないケースもある。面接会場への移動時間や交通費といったコスト負担は、企業側・応募側の双方にとって大きなネックとなる。そのため米国では、「スカイプ」や「Googleハングアウト」などのビデオ電話や、オンライン面接専用のプラットフォームを使用する企業や大学が数多くある。

 オンライン面接の導入で得られるメリットは何か。1つ目は、双方が時間や費用を気にせず、より多くの面談が可能になること。2つ目は、企業側は履歴書だけではわからない応募者の性格や対応力、対話力を把握できること。3つ目は、企業側は面接の様子を動画に記録することで、あとから映像を見直したり、複数の採用担当者と共有するなどして、2次面接以降の候補者を絞れること。4つ目は、遠隔地に住む優れた応募者を採用できること。5つ目は、地方に本社を置く企業が首都圏に住むIターン・Uターン応募者を雇い入れることで、助成金を受けられる場合があること、などが挙げられる。

 このようなメリットから、日本では2010年頃からオンライン面接や動画応募を導入する企業が目立ってきた。例えば、ソニー・ミュージックグループの「ムービー面接」、栃木銀行の「動画エントリー」、読売テレビやサイバーエージェント、三幸製菓の「スカイプ面接」などがそうだ。

●採用活動がグローバル規模に展開?

 その背景について、人材サポート企業のビューポイントウェアによれば、「エントリーシートや提出課題などの記入内容は、マニュアルや指導によって均一化する傾向にあり、合否の判断が難しくなっている」と分析する。その結果、大学名や誤字脱字の数、写真から受ける印象で判断せざるを得ない企業も少なくない。採用面接のオンライン化にはこうした主観的な判断を防ぎ、選考の精度を上げたいという企業の思惑が見える。

 同社によれば、「動画はコミュニケーション力やプレゼン力、志望意欲といった点を確認しやすく、能力や個性の確認にも適した選考方法といえる。初期選考方法の見直しだけでなく、通常の選考活動では残らない人材を見つけるという新しい人材の発掘や、学生側から企業へアピールできる機会の提供といった目的もある」という。米菓「雪の宿」などで知られる新潟市の三幸製菓は、新しい人材の発掘のためにスカイプ面接を活用し、地元中心の採用から大都市圏中心の採用に切り替えている。

 企業にとっては海外在住の外国人応募者との面談も可能になるため、グローバル規模で広く採用活動が展開できるといったメリットも無視できない。一方、応募者にとっては、新規・中途を問わず採用方法が劇的に変化すれば、世界中の優秀な応募者と同じ土俵で戦わねばならず、就職および転職活動がますます厳しくなることが予想される。

 就職・転職活動は、お見合いに例えられることが多い。いずれもエントリーシートの選考によって、面接に進むかどうかが決まるからだ。しかし、表面上のデータだけで判断できることは限られるため、エントリーの数が増えれば、それだけ「無駄打ちだった」と感じる面接が増えるのも常だ。こうしたミスマッチを事前に防ぐことは難しいが、採用プロセスの一部を効率化することで、双方の時間、お金、労力を最小限に抑えることは十分可能なのだ。
(文=千葉優子/ライター)

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