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シティ銀個人部門売却、慢性赤字でも応札した6行の狙いは?様子見続く、交渉難航も

文=編集部
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シティ銀個人部門売却、慢性赤字でも応札した6行の狙いは?様子見続く、交渉難航もの画像1シティバンク銀行本店が所在する新丸の内ビルディング(「Wikipedia」より/Kakidai )
 米金融大手シティグループ日本法人のシティバンク銀行の個人向け部門売却をめぐる1次入札に、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクに加え、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス、新生銀行の計6行が応札した。シティ銀は8月中旬に邦銀9行に売却を打診していた。複数回の入札で売却先を絞り込み、早ければ年内にも売却先を決める。売却額は業務全体で数百億円とみられ、第1次入札で300~400億円を提示した銀行が複数あるという。

 邦銀の個人取引は預金や給与口座、住宅ローンなどの取引が大半を占めるが、外資系銀行は外貨預金や資産運用など幅広い金融サービスを行っている点に特徴がある。2000年代から外資系銀行のリテール(個人)業務進出が本格化し、多数の顧客を集めることに成功したのがシティ銀だった。同行の日本国内拠点数は33で、6月末の預金量は3兆8556億円と中堅地銀並みの規模だ。しかし、日本では低金利の状態が長引き、運用利回りから調達コストを差し引いた総資金利ザヤのマイナスが続き、いくら預金を集めても儲からないという構造に陥っていた。14年3月期の純利益は黒字に転換したものの、わずか13億円にとどまる。結局、個人向け部門を売却して、日本から撤退することにしたわけだ。

 慢性的な赤字体質とはいえ、1兆円規模の外貨預金は邦銀大手には垂涎の的だ。邦銀はどこも、海外投資に必要な外貨資金の調達に苦労しているからだ。円からドルに換えるには手数料が必要になる。一方、富裕層をターゲットにした資産運用業務を引き継げれば、投資信託などの販売拡大につながるとの計算が働く。ただ、首都圏ではシティ銀の店舗と重複するところがかなり出る。6行は、これらの得失をしっかり見極めた上で、第2次以降の入札に臨むことになる。

●カギは海外ネットワークの利用

 シティ銀の個人部門の買収に手を挙げた邦銀の狙いは2つある。1つはシティ銀の一番の強みである海外サービスだ。預金者は同行に円の預金口座を持っていれば、世界の160以上の国・地域のATM(現金自動預払機)で現地通貨を引き出せるなど、サービスが充実している。シティ銀が提携している金融機関を含めて200万台のATMを利用できる。海外出張が多いビジネスパーソンや海外旅行好きの高齢者がシティ銀の顧客層に多いのはこのためだ。しかし、邦銀に営業が引き継がれた場合、このサービスが継続するかどうかは決まっていない。

 邦銀の海外ネットワークはシティグループに及ばない。買収後、このサービスがなくなれば顧客が逃げていく可能性が高く、シティグループと提携して買収後もサービスを継続する方法はあるが、多額のシステム改修費が必要になるとの指摘もある。そうなると実質的に買収価格がハネ上がり、ATMの手数料も引き上げられるかもしれない。買収する邦銀にとって、シティの海外ネットワークをそのまま利用でき、手数料もこれまで通りならベストだが、シティ側から見れば、個人部門を売却してしまえばその時点で競合他行になる。シティグループの海外ネットワークを利用できるのかが、買収交渉の大きな見どころになる。

BusinessJournal編集部

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