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林總「かみくだいてご説明しますと……」(11月19日)

ボジョレーはなぜ儲かる?低級ワインを世界的ブランドへ転換、驚愕のビジネスモデル

文=林總/公認会計士、ワインエキスパート

●理想的なキャッシュフロー経営

 急激な需要増は2つの問題を引き起こす。供給が追いつかなくなることと、急増する運転資金をどう確保するかだ。そこでデュブッフは2つのことに取り組んだ。

 第一に生産スピードを速めることだ。一般に高いワインは木樽(またはステンレスタンク)で寝かせて熟成させるが、2年寝かせればそれにかかる資金も寝てしまう。だが、ボジョレー・ヌーボーは熟成工程を割愛するどころか、マセラシオン・カルボニック法と呼ばれる急速発酵技術で早期大量生産を行なうため、ワインは短期間で完成する。これで急激な受注増に対応できるし、資金繰りの問題も解決する。

 第二に生産が増えれば原料のブドウの生産も増やす必要があるため、農家の組織化を進め、材料安定供給とコスト削減を行った。

 以上の取り組みにより大量生産・販売が可能となったが、販売代金の回収が遅れたらビジネスは回らない。その問題を解決するために、11月の第3木曜日が解禁日であることを広報し、予約販売を強力に進めた。

 こうして、組織を超えたプロセス管理を行い、生産したワインを一気に販売して確実な現金化するビジネスモデルをつくり上げたのだ。 まさに彼が計画して実現したのは、キャッシュフロー経営そのものだった。

 今年はそんなうんちくを頭の片隅に置いてボジョレー・ヌーボーを飲めば、より味わい深く楽しめるかもしれない。
(文=林總/公認会計士、ワインエキスパート)

林總/公認会計士、経営コンサルタント、会計専門職大学院教員

林總/公認会計士、経営コンサルタント、会計専門職大学院教員

中央大学商学部卒業。外資系会計事務所、監査法人を経て開業。現在、株式会社林總アソシエイツ代表、公認会計士林總事務所代表、日本原価計算学会会員。国内外の企業に対して、ビジネスコンサルティング、ITを活用した管理会計システムの設計導入コンサルティング、講演活動等を行っている。

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