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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏(12月18日)

失われた「ソニー愛」 悲惨な実情に個人株主離れ加速、業績下方修正と言い訳連発

文=高井尚之/経済ジャーナリスト
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「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数あるジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

 11月下旬から12月にかけては、3月決算の上場企業から株主のもとに中間決算の報告書が封書で郵送される時期だ。「中間決算関係書類在中」「株式関係書類在中」などと記され、事業活動報告書とともに所有株式数に応じた配当金計算書が同封されている。

 例えば、武田薬品工業は2014年度中間期で1株当たり90円、花王は同34円など、株主還元策として高い配当性向(純利益に対する配当金の割合)を保っている企業もある。電機業界では、パナソニックが前期(13年度)から配当金を復活させており、同8円となっている。

●上場以来初の無配、株主総会時の手土産も取りやめ

 そんな中、筆者のもとにソニーから「2014年度上半期連結業績のご報告」と称するハガキが届いた。封書でなくハガキなのは、14年度中間配当と期末配当がゼロ(無配)となったからだ。同社が無配となったのは、1958年に上場して以来初めてである。

 近年のソニーの苦境は、多くのメディアが報じているとおりであるが、9月17日の記者会見で業績を下方修正し、14年度(15年3月期)の営業利益を従来予想の1400億円の黒字から500億円の赤字に、最終損益である連結純損失を同500億円の赤字から2300億円の赤字に拡大する見通しと述べ、そこで併せて今期の無配も発表した。

 その約3カ月前の6月19日に開催した株主総会では、従来は出席した株主に手渡していた土産も廃止した。それも影響したのか、出席者は前年の1万693人から4662人へと激減した。上場企業各社が個人株主重視の姿勢を打ち出し、株主総会時の経営陣との懇親会や手土産を工夫する会社は増えた。ソニーも過去には充電器セットを配るなど、手土産品の内容は毎年変わっていた。

 ただし、株主総会時の手土産廃止については、ソニーに限った話ではない。近年は取りやめる企業も増えている。賛否両論はあるだろうが、年に一度の「企業と一般株主との交流」の視点では、一抹の寂しさはぬぐえない。

●個人株主のソニー離れ進む

 かつてソニーは、株主総会の運営手法自体も注目されていた。1990年代後半から2000年代前半までは株主総会に参加する個人株主の思い入れも強く、会場には朝早くから株主が入場の列に並んだ。6月下旬の暑い時季にもかかわらずスーツ姿の退職世代も目立っていた。壇上の経営陣への質問も牧歌的で、例えば、ある中高年男性は「私はソニー製品が好きで、新製品が発売されると必ず2台ずつ買い求めてきた」といった、質問内容とは関係ない前振りがされたこともあった。

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