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鈴木貴博「経済を読む“目玉”」第25回

円安進行で恐怖の貧しさ到来 物価や住宅高騰、輸入食品ばかり、外資乗っ取りで財産流出

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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円安進行で恐怖の貧しさ到来 物価や住宅高騰、輸入食品ばかり、外資乗っ取りで財産流出の画像1外国為替市況(1月16日/「日本銀行HP」より)

 私事だが毎年、年末はアメリカで過ごすことにしている。年末休暇で買い物を楽しんだり、ちょっと贅沢に食事を楽しんだりというのが筆者のささやかな愉しみなのだが、今回の滞在では少し勝手が違った。ささやかな贅沢のつもりが、計算をしてみると結構な贅沢な支払いになっているのだ。

 今回滞在時の為替レートは1ドル=120円。1年前は1ドル=100円前後、3年前なら1ドル=80円ぐらいの水準だったのだから、割高なのはある意味当然だ。同じ買い物でも3年前と比較すれば1.5倍の価格になる。体感的には1ドル=80円というのは何を買っても激安感覚だったのに対して、1ドル=120円となるとその逆で「安いかな?」と思った商品も為替レートや税金を加味してよくよく計算してみると、それほど安くはないというケースが当たり前になってくる。

 さて先月、雑誌の取材で為替レートが1ドル=160円になったらどのようなことが起きるのかというインタビューを受けた。今回のコラムでは、そのインタビューでは紹介できなかった1ドル=160円のより深い恐怖の世界をご案内したい。

 筆者は、今年のどこかで1ドル=160円の水準に突入する可能性はかなり高いと考えている。理由は日本銀行の黒田バズーカだ。日銀が異次元金融緩和の方針を打ち出したことが、短期的には株高という日本にとって良い方向に動いたのだが、いつまでも良い作用だけが起きるとは誰も思っていないはずだ。いざこの金融緩和が円の信認を揺るがすと市場が見たら、一気に異次元の円安に為替レートが振れてもおかしくはない。

 これから先、さらに円安が進んだとして、今よりも約30%円安になれば1ドル=160円の世界に入るのだから、1ドル=160円の世界は比較的現実感のある未来予測である。

●結構な恐怖の世界

 ではその1ドル=160円の世界を、どのように捉えるべきなのか?

 実は日本人にとって結構な恐怖の世界がそこに待っている。さまざまな物資を輸入に頼っている日本にとっては、1ドル=160円の世界は、それだけで3年前と比べて輸入物価が倍になる世界である。ここまでの円安の影響で、今年に入ってカップ麺やカレールー、トイレットペーパーや冷凍食品など生活に身近な商品の値上げが次々と予定されているが、1ドル=160円になれば、その値上げがさらに3段階ぐらい進むことになる。

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『日本経済復活の書』『日本経済予言の書』(PHP研究所)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。
百年コンサルティング 代表 鈴木貴博公式ページ

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