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横川潤「外食万華鏡」

タコベル、日本で大成功するのは極めて難しいといえる理由 実店舗より考察

文=横川潤/文教大学准教授、食評論家
タコベル、日本で大成功するのは極めて難しいといえる理由 実店舗より考察の画像1タコベルの店舗

 4月21日、東京・渋谷に「タコベル」がオープンした。連日1時間待ちの行列ができ、筆者もGW中の5月3日に出かけてみたが、午後4時という中途半端な時間にもかかわらず、やはり行列ができており1時間弱の順番待ちを余儀なくされた。

 タコベルは日本での知名度こそ今ひとつながら、アメリカでは知らない人のない有名ファストフードチェーンである。アメリカを中心に世界で6000店舗以上を展開し、2014年度の全米外食チェーンランキングで第6位(売上高8000億円強)につけている。

 さすがに首位を独走するマクドナルド(同2兆5000億円超)との差は大きいが、11位のケンタッキー・フライドチキン(同4000億円強)を大きく引き離し、2位のサブウエイ、3位のスターバックス(ともに同1兆円強)らと「第2集団」を形成しているようにみえる。空港や駅などの公共機関、繁華街やショッピングモールなどありとあらゆる場所でタコベルを見ることができ、いわばアメリカの日常的な光景の一部となっている。

 そしていよいよそのタコベルが日本に進出。ただし一部で「日本初上陸」と報じられはしたが、実は1980年代に一度日本へ進出を果たしており、その時はあえなく撤退の憂き目を見ている。

パンチの効いたカラフルなテイスト

 さて、今回はどうなるのだろうか。

 まずは実際に店舗を訪れた感想から述べてみたい。立地は文化村通りを東急百貨店本店の手前まで登って左手の裏道に入ったところで、お洒落とは言いがたいロケーション。店内のインテリアは煉瓦や木材を多用して、わりあいシックにまとめられている。待ち時間が長いのは商品をつくるのに時間がかかるせいで、マクドナルドであれば待ち時間は3分の1くらいに短縮されるはずである。

 そして重要な味は、結論からいえば美味しいと思った。いかにもメキシコ料理らしい、メリハリとパンチの効いたカラフルなテイストで、少なくとも日本食の領域には絶対に存在しない味わいである。日本限定商品のタコライスはご飯がいわゆるチキンライス風で、老若男女に食べやすい味となっている。

 また個人的には「プレミアムアイスクリーム」のキャラメルソースがけ、シナモントスターダ添えが、悶絶的に美味だった。すこぶる繊細でセンスを感じさせる仕上がりは、マスコミで「絶品スイーツ」などと喧伝されても異論のないクオリティと感じられた。

問われる「第2の起業」という決意

 では、アメリカ並みの6000店ならずとも、日本国内で1000店を超えるチェーンに育っていくのであろうか。これも結論からいうとすれば、きわめて難しい。

横川潤/文教大学准教授、食評論家

横川潤/文教大学准教授、食評論家

文教大学国際学部国際観光学科准教授。1962年、長野県生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了。ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得
横川 潤 亜細亜大学

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