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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

ディズニー男子、プロレス女子…「男性らしさ・女性らしさ」の社会的認識の変化も

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

 ひと昔前なら男性が観戦するスポーツだったプロ野球で、広島東洋カープの熱烈な女性ファン、いわゆる「カープ女子」が登場して話題を集めたかと思えば、巷には料理教室に通う「料理男子」が増加中。ほかにも「プロレス女子」「ディズニー男子」など「○○男子」「○○女子」と呼称される、メインターゲットとなる性別の枠を超えて趣味を楽しむ層が近年増えている。

 このような現象は、マーケティングの分野からどのように分析できるのだろうか。立教大学教授・有馬賢治氏に話を聞いた。

クロスジェンダー

「かつて男性向け、女性向けと考えられていた商品やサービスにおいて、逆転やユニセックス化が顕在化してきています。ファッション業界で使用されていた『クロスジェンダー』という言葉が、一般の趣味にまで広がってきたと思われます。また他方で、趣味の分野に限らず、2010年には女子プロ野球リーグが発足したり、保育士や看護師に従事する男性が増えたりなど、これまでは男性向け、女性向けとされていた職業の分野でも、両者の活躍が目立つようになってきました。これも世の中がジェンダーの多様性を受け入れるようになった一つの兆しかもしれません」

 ジェンダーの捉え方の多様化という現象に目を向けると、女性のようなルックスや体型を持つジェンダーレスモデルが若者を中心に人気を集めていたり、反対に男装趣味の女性を対象としたイベントや、男装女性が接客をするカフェが話題になったりする例があげられる。男性の女性化、女性の男性化、それぞれが趣味や服装を含めた娯楽の分野で広く市民権を得るようになり、「クロスジェンダー」に対する認識の変化が進んでいるようだ。

ジェンダーへの認識の変化

「こうしたジェンダーへの認識の変化もあり、なおさら趣味の分野では以前の男性向け、女性向けという固定観念のハードルが下がってきています。一方、匿名性が高いSNSなどの普及により、共通の趣味や嗜好を持つ同志を探すことが以前よりも気楽にできるようになりました。その結果、クロスジェンダー化した趣味を表明することに対して躊躇する人が減ってきたといってもよいでしょう。共通の趣味・嗜好の人が世の中に存在しているという安心感は、自分の興味があることに打ち込む際に、他人の目を意識しなくてもよいという気持ちを強めたのではないかと思われます。

 人には『自己実現の欲求』というものがあると米心理学者アブラハム・マズローは唱えましたが、自分の理想とするライフスタイルを実現したいという欲求を、自分が特殊ではないということをSNSで確認できているがゆえに、以前よりも大っぴらに表明できるようになったのではないでしょうか」(有馬氏)

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