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宮永博史「世界一わかりやすいビジネスの教科書」

iPhoneの広告ブロック機能、グーグルに大ダメージ?高いiPhone依存が急所に

文=宮永博史/東京理科大学大学院MOT(技術経営専攻)教授
iPhoneの広告ブロック機能、グーグルに大ダメージ?高いiPhone依存が急所にの画像1「Thinkstock」より

 アップルが「iPhoneのアプリに配信される広告をブロックする」アプリのダウンロードを解禁した。モバイル広告をうっとうしいと思うiPhoneユーザーにとっては朗報だろう。何しろ、このアプリをダウンロードすれば、モバイル広告を一切シャットダウンできる。まさにアップルはユーザー指向が徹底している。

 しかし、その一方で、これは競合に対する対抗策ともいえる。その競合とはグーグルのことだ。一体どういうことか。

グーグルにとっての脅威

 ある調査によると、グーグルのモバイル広告の実に75%がiPhoneユーザー向けといわれている。ということは、仮にiPhoneユーザーの3分の1がこの「広告をシャットダウンするアプリ」をダウンロードして利用したとすると、単純計算で、グーグルはモバイル広告収入のおよそ4分の1を失うことになる。グーグルにとって、アップルのこの方針は大きな脅威だ。

 グーグルにとって、iPhoneはモバイル広告のための重要な販売チャネルといえる。75%という依存度の高さがその重要性を示す何よりの証拠だ。ところが、このケースのように、その依存度の高さが逆に仇となる場合がある。ビジネスを行ううえで注意すべきは、実は競合だけではない。販売チャネルの動向にも十分な注意が必要だ。

販売チャネルが脅威となる

 マーケティングの世界に「4P」という概念がある。そのひとつがPlaceだ。いわゆる販売チャネル・物流を指す用語だが、Placeという言葉ではいまひとつピンと来ない。それもそのはず、もともとはDistributionという用語が使われていた。このほうが、はるかにわかりやすい。それをPlaceに変えたのは、米マーケティング学者のエドモンド・ジェローム・マッカーシーだ。なぜDistributionをPlaceに変えたかといえば、それは語呂がよいからだろう。3P+Dというよりも、4Pといえば語呂がよく覚えやすい。さらにその後、現代マーケティングの大家といわれるフィリップ・コトラーが「6P」「7P」と発展した理論を発表する源ともなっている。

 このように、ビジネスのフレームワークには、語呂の良さでつくられているものもあるので、実際に使うときには注意が必要だ。

 話が脱線したが、販売チャネルというのは、本来であれば、自社製品やサービスを提供するいわば顧客でもある。その顧客が牙をむくことがある。アップルのケースはまさにそうした事例といえる。

宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授

宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授

東京理科大学大学院
経営学研究科 技術経営(MOT)専攻教授。東京大学工学部・MIT大学院修了。NTT、AT&T、SRI、デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)を経て2004年より現職。主な著書に『ダントツ企業』『顧客創造実践講座』『世界一わかりやすいマーケティングの教科書』『幸運と不運には法則がある』『理系の企画力!』『技術を武器にする経営』(共著)、『全員が一流をめざす経営』(共著)、『成功者の絶対法則 セレンディピティ』などがある。

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