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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

子・孫への贈与が危ない!こんな落とし穴が!教育・結婚・子育て資金…

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
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子・孫への贈与が危ない!こんな落とし穴が!教育・結婚・子育て資金…の画像1「Thinkstock」より

 総務省の調べによると、日本の家計金融資産の6割強は世帯主年齢が60歳以上の家庭が保有しているという【※1】。反面、世帯主の年齢が20代の場合、約17%の家庭が貯蓄100万円未満という調査もある【※2】。

 この世代間格差を埋めるために、政府は積極的に「贈与の非課税」制度の拡充を図っている。贈与とは、簡単にいえば「お金をあげます」「もらいます」という行為のことで、お金を持っている世代から所得の低い若者世代に、金融資産を移転してもらおうという狙いだ。

 そのため、通常は多額のお金をもらうと贈与税がかかるが、今は一定の条件を満たせば非課税となる制度が増えている。

 例えば、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合」では1500万円まで、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合」では1000万円まで非課税となる制度が、時限付きで設けられている。

 また、2016年から始まった「ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)」では年間80万円、最大400万円まで非課税で投資できる。ジュニアNISAは20歳未満が対象で、親や祖父母が資金を拠出することも可能だ。そもそも、収入のない子供の場合は運用資金を捻出できるわけがないため、これも実質的な非課税の贈与といえるだろう。

 13年に1人当たり1500万円まで非課税になる教育資金の一括贈与制度がスタートした際、筆者は「わざわざ、こんな制度を利用する人がいるのか?」と疑問だったが、実際は1年で6万件の利用があったと聞いて驚いた。「世の中にお金持ちが多い」ということにではなく、「わざわざ金融機関に『大金を持っている』と知らせるような、人の善いお金持ちがたくさんいる」ということに、である。

口座開設で得をするのは国や金融機関?

 そもそも、この制度を利用するには、信託銀行などの金融機関に専用の口座を開く必要がある。贈与先の相手名で口座がつくられ、そこに入金するのだが、何が「教育資金」となるかについては、細かく規定がある。

 また、子供や孫がお小遣い代わりに好き勝手に引き出せるわけではない。それなら、ランドセルでも学習机でも、塾や留学の費用にしても、祖父母や親が直接支払ったほうが手間がかからず、自由度も高いといえるだろう。

 15年4月から始まった結婚・子育て資金の一括贈与制度は、1000万円(結婚関係は300万円)まで非課税になるものだが、これについても不思議でならない。筆者が知る限り、「親が出してあげた子供の結婚式代に贈与税がかかった」という話は聞いたことがない。

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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