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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

日本生命、ボロ儲けか…平均寿命で死ぬと契約者が約5百万円損する保険販売

文=鷲尾香一/ジャーナリスト
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日本生命、ボロ儲けか…平均寿命で死ぬと契約者が約5百万円損する保険販売の画像1日本生命本社(「Wikipedia」より/663highland)

 日本生命(以下、日生)が4月2日から取り扱いを開始した新商品「ニッセイ長寿生存保険(低解約払戻金型)Gran Age(グラン エイジ)」が、生命保険業界内で物議を醸している。この商品は、「人生100年時代」を謳い文句に死亡時の支払金を抑え、長生きすればするほど儲かるという考え方に基づいた「長生きのための新しい保険」というのがコンセプト。死亡時の支払金や解約払戻金を低く抑え込むことで、年金を生きている限り受け取ることができる仕組みとなっている。

 日生はこの商品を開発した背景について、「人生100年時代は、長いセカンドライフのための経済的な備えが不可欠となるが、自身の寿命が予測できない以上、どの程度の準備が必要なのかなど、経済的な不安は拭えない。こうした不安を解消するための商品として開発した」としている。

 業界内では、「個人年金商品での低解約払戻金型は業界で初めて。コンセプトは非常におもしろい」と評価する声はあるものの、「商品性に問題があり、訴訟リスクを内包している。当社では同様の商品を取り扱うつもりはない」と手厳しい声が多い。では、同業他社がそこまで問題視する商品性とはどのようなものなのか。

 まず、この商品には積み立てた掛け金の受け取り方法として、(1)5年保証期間付終身年金、(2)10年確定年金、(3)一括受取の3つがある。このうち、(2)と(3)はほかの生保でも扱っており、特別変わったものではない。売りはなんといっても5年保証期間付終身年金だ。

 商品性の問題点を明らかにするにあたり、日生が説明書で取り上げているモデルケースを使う。毎月、年金を5万円受け取れること前提とし、50歳で契約、20年間保険料を支払い、70歳から年金の受け取りを開始するというパターンだ。この場合、月々の保険料と支払保険料の総額は以下のようになる。

・月額の保険料:4万7946円(男性)、5万8680円(女性)
・支払保険料の総額:1150万7040円(男性)、1408万3200円(女性)

 上記のように、保険料の支払総額は男性の場合で約1150万円、女性の場合には約1408万円という高額になる。女性の保険料が高いのは、女性の平均寿命が男性よりも長いという理由による。さて、70歳から年金の支払いが始まると、月々5万円が支払われるため、年金受取額は年間で60万円となる。

鷲尾香一/ジャーナリスト

鷲尾香一/ジャーナリスト

本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。

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