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小笠原泰「コンピュータ技術の進歩と日本の雇用の未来を考える」

Suica普及の本当の理由…駅員の業務が急速に消失 機械による人間の代替が加速化

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
Suica普及の本当の理由…駅員の業務が急速に消失 機械による人間の代替が加速化の画像1JR東日本が発行するSuicaカード

 本連載では今回から、AI(人工知能)に象徴される技術進歩による仕事の喪失は、これまでの機械化とグローバル化によるそれと根本的に何が違うのかを順次整理してみたい。

 まず、1つ目に考えられるのは、スピード=時間感覚の問題であろう。コンピュータ技術を筆頭にした機械の技術進歩のスピードは加速しており、機械による仕事の代替のスピードも速くなってきている。

 極端な例ではあるが、高速道路の通行券を配っていた人の定年退職による通行券発券の機械化といった、労働者のライフタイムに則した長い時間をかけての機械による人間の仕事の代替と、現在進行しているコンピュータ技術を駆使したそれとではスピード感が異なる。

 時間をかけて代替をするのであれば、そのインパクトと危機感は緩和されるが、変化が激しく予見性が低く、競争が激しくなる現在の経営環境のなかで、経営サイドにとって十分な時間をかけて代替を行う余裕は急速になくなりつつある。産業革命のなかで蒸気機関から電気への移行は極めて緩慢であったといえるが、現在の経営者にこのような緩慢な移行を期待することはできないであろう。

 機械による雇用の直接的な代替が話題になる前から、技術進歩の加速化は機械による機械の代替の速度を速めてきた。固定電話から携帯電話(ガラケー)、そしてスマートフォン(スマホ)への移行は加速的である。日本で米アップルのiPhoneが発売されたのは2008年だが、2010年代前半でスマホが市場を塗りかえた感がある。ガラケーの急速な普及が公衆電話の数を急速に減少させ、固定電話もその必要性が大きく減じ、ガラケーもスマホに急速に代替されたわけである。そして、スマホの急速な普及は、電話だけではなく、ノート型PC市場にも大きな影響を与えたといえる。

 つまり、擬人化すれば、機械も機械と競争し、敗れれば新しい機械に仕事を奪われているわけである。その代替のスピードは、機能の高度化・複合化も相まって加速化しつつある。

機械による人間の代替

 そして最近では、機械による人間の代替が急速に進んでいる。

 この人間にかかわる領域での技術進歩の加速化を象徴するのが、チェス、将棋、囲碁の世界であろう。つい最近、世界屈指のプロ囲碁棋士がAIソフトのアルファ碁に3連敗し、1勝4敗と惨敗したことが話題を呼んだ。将棋の世界でAIソフトが人間のプロ棋士に勝った2013年に、囲碁の世界でそれを実現するには時間がかかるだろうといわれていた。囲碁の局面数は、将棋の10の220乗と比較し、10の360乗と桁違いに多く、かつ駒の役割等がないため、形勢判断が難しいからである。今回も対局寸前まで人間の囲碁棋士が勝つだろうと予想されていた。

小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

1957年生まれ。東京大学卒、シカゴ大学国際政治経済学・経営学修士。McKinsey&Co.、Volkswagen本社、Cargill本社、同オランダ、イギリス法人勤務を経てNTTデータ研究所へ。同社パートナーを経て2009年より現職。主著に『CNC ネットワーク革命』『日本的改革の探求』『なんとなく日本人』、共著に『日本型イノベーションのすすめ』『2050 老人大国の現実』など。
明治大学 小笠原 泰 OGASAWARA Yasushi

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