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おにぎり茶づけ、なぜ「おにぎり抜き」で販売?客・永谷園・店にもメリットの逆転の発想

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授
おにぎり茶づけ、なぜ「おにぎり抜き」で販売?客・永谷園・店にもメリットの逆転の発想の画像1「カップおにぎり茶づけ」(「永谷園 HP」より)

 食品大手メーカー・永谷園において新商品を開発することになったと仮定した場合、何かいいアイデアはありますか。

 永谷園といえば、「お茶づけ海苔」に代表される、お茶づけの素を思い浮かべる方も多いでしょう。そこで、新しいお茶づけを開発しようというアイデアが挙がるかもしれません。では、どのような形態でお茶づけを提供すればよいでしょうか。

 例えば、カップにお茶づけの素とご飯を入れて販売し、消費者はお湯を注ぐだけで屋外でも気軽に食することができるという商品も面白いかもしれません。

多様化するニーズへの対応

おにぎり茶づけ、なぜ「おにぎり抜き」で販売?客・永谷園・店にもメリットの逆転の発想の画像2『すごい差別化戦略』(大崎孝徳/日本実業出版社)

 では、具材は何にしましょう。定番ともいえる梅、鮭から始めるべきでしょうか。それとも若者をターゲットとして、エビマヨや鶏のから揚げなど、新たなジャンルに挑戦することも面白いでしょう。しかし、個人のニーズの多様化が叫ばれるなか、どのような味がヒットするのかわからず、なかなか難しい意思決定になるかもしれません。

 コンビニエンスストアでの販売を想定すると、限られた棚に数多くのラインアップを並べることは現実的に難しいため、絞り込んだ開発が必要になるはずです。

 また、ご飯はどのように提供するべきでしょうか。フリーズドライもよいかもしれませんし、「サトウのごはん」(サトウ食品)のような無菌包装タイプでの提供も可能でしょう。

 そのほか、こうした商品を開発するとなると、検討すべき課題は山積みでしょうし、その後の実験や調査も不可欠です。さらに、実際に製造するとなると、設備投資にもかなりのコストが必要になるでしょう。

 ご存じの方もいるとは思いますが、永谷園はすでに2005年9月からご飯付きのカップ茶づけを販売しています。鮭、梅、天ぷらの3つの種類が用意されています。ご飯はフリーズドライではなく、無菌米飯となっています。メーカー希望小売価格で税抜265円、賞味期間は6カ月です。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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