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舘内端「クルマの危機と未来」

トヨタのプリウスもディーゼルも、絶滅の危機か…CO2規制強化でPHEVが市場席巻か

文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表
トヨタのプリウスもディーゼルも、絶滅の危機か…CO2規制強化でPHEVが市場席巻かの画像13代目トヨタ・プリウス(「Wikipedia」より/Mytho88)

PHEVは2021年にEUを席巻する

 2021年までには、相当の勢いでプラグインハイブリッド車(PHEV)がEU(欧州連合)の自動車市場を席巻するに違いない。厳しい二酸化炭素(CO2)規制が実施され、それをクリアするにはPHEVを売るしかないからだ。

 その厳しい規制は、21年までに1キロメートル当たりの排出量を95グラム以下にせよというものであり、達成できないメーカーには莫大な罰金というペナルティが科せられる。95グラムを日本流の燃費に換算すると、リッター24.4キロメートルである。ただし、これはEUの厳しい測定モードでの話で、ぬるま湯の日本の燃費測定方法であればリッター31キロメートルに届いていないとだめだろう。

 たとえば日本の燃費測定方法のJC08でリッター24.4キロメートルをマークしたとしても、その車をEUに持って行って測定すると、おそらくリッター19キロメートルほどにしかならないと考えられるからだ。

 ちなみにトヨタ自動車の旧型プリウスのCO2排出量は、日本国内の測定では1キロメートル当たり70.3グラムだが、EUの測定方法では89グラムと1.27倍に増える。つまり、EUの測定方法は日本のそれよりもより厳密なのである。

新型プリウスHVでもあっぷあっぷ

 プリウスに関していえば、新型の燃費はスタンダードなモデルでリッター34.0キロメートルである。これであればEUモードでは26.8キロメートルほどになると考えられ、21年規制は十分にクリアできる。

 ただし、EUではPHEVのCO2排出量の計算方法が独特であり、EVモードでの航続距離が長いほど、つまりCO2ゼロで走れる距離が長いほど圧倒的に排出量が少なくなる。この測定方法では、さすがの新型プリウスもPHEVには敵わない。

 注意すべきなのは、EUのCO2規制は企業平均値である点だ。プリウスだけCO2排出量が少ないからといって規制をクリアできるものではない。トヨタとしては少しでも企業平均値を下げるために、よりCO2排出量の少ないプリウスPHVを売らざるを得ないのである。

ディーゼルも厳しい

 では、EUで販売台数の半分を占めるディーゼル車はどうだろう。

 EUの自動車メーカーとしては、CO2排出量の企業平均値を少なくするには、とにかく燃費が悪くCO2排出量の多い、大きくて重いクルマをなんとかしなければならない。そこで各社が選んだのが、重量車のPHEV化である。

舘内端/自動車評論家

舘内端/自動車評論家

1947年、群馬県に生まれ、日本大学理工学部卒業。東大宇宙航空研究所勤務の後、レーシングカーの設計に携わる。
現在は、テクノロジーと文化の両面から車を論じることができる自動車評論家として活躍。「ビジネスジャーナル(web)」等、連載多数。
94年に市民団体の日本EVクラブを設立。エコカーの普及を図る。その活動に対して、98年に環境大臣から表彰を受ける。
2009年にミラEV(日本EVクラブ製作)で東京〜大阪555.6kmを途中無充電で走行。電気自動車1充電航続距離世界最長記録を達成した(ギネス世界記録認定)。
10年5月、ミラEVにて1充電航続距離1003.184kmを走行(テストコース)、世界記録を更新した(ギネス世界記録認定)。
EVに25年関わった経験を持つ唯一人の自動車評論家。著書は、「トヨタの危機」宝島社、「すべての自動車人へ」双葉社、「800馬力のエコロジー」ソニー・マガジンズ など。
23年度から山形の「電動モビリティシステム専門職大学」(新設予定)の准教授として就任予定。
日本EVクラブ

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