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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

「写ルンです」やアナログレコード、なぜ根強く地味にブーム?古さ&手間こそ贅沢

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio
「写ルンです」やアナログレコード、なぜ根強く地味にブーム?古さ&手間こそ贅沢の画像1富士フイルム「FUJIFILM フジカラーレンズ付フィルム 写ルンです」(「Amazon HP」より)

 スマートフォン(スマホ)の普及により、誰でもいつでも手軽に写真が撮影できるようになった。しかし、そんな時代にあって、かつてレジャーシーンに不可欠だったインスタント・フィルムカメラ「写ルンです」(富士フイルム)が、若い女性を中心に密かな人気を集めているという。

 データで簡単に管理できるスマホのカメラ機能と違い、フィルムカメラは現像に出す手間もあれば、焼き増しをしないと友人間で写真を共有できないなど不便な点も多い。それが今、なぜ再び注目されているのか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に話を聞いた。

“味わい”を求める愛好者たち

「『写ルンです』がはやっている背景を分析してみると、撮った写真を現像後にまとめて見て思い出に浸れるという楽しみがあることに加えて、フィルムカメラで撮った写真の画質に“味わい”を感じる層が増えてきているからではないかという要因があげられます。さまざまな製品の技術が高度化されている現代においては、反対にこういった味わいに新鮮さを覚える層が増えてきているのではないでしょうか」

 レトロなアイテムが売れている例はほかにもある。パナソニックの音響機器向けブランドである「Technics(テクニクス)」が、4月にアナログレコードプレーヤー「SL-1200GAE」の予約を開始したところ、たったの30分で完売した。300台限定とはいえ、33万円(税別)という価格を考えると、驚異のスピードといえるであろう。

 音楽はmp3といったデータで購入するのが当たり前になった世の中で、このようなレトロな市場は、依然として健在だ。

「このような“愛好者市場”は、大ブームにまではなりませんが、なくなることも考えにくい市場です。それは『写ルンです』と同じく、その機器を扱うことに使用者は味わいを感じとっているからです。レコードの場合は、レコード盤をケースから取り出して、ほこりを払い、ターンテーブルにセットし、針を落とさないと音楽を聴くことはできません。この手間があるからこそ音楽自体に浸りやすいのです」(有馬氏)

SNS効果で若者のオタク化を後押し

 パソコンやスマホであれば、指先ひとつで延々と音楽が再生できる。だからこそ、むしろ垂れ流し的な感覚となって、音楽を心から楽しむことから遠ざかってしまっているのではないであろうか。カメラも愛好家ほど、自らピントや絞りを合わせる必要のある一眼レフカメラなどを愛用するのも、それに近い行動なのかもしれない。

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