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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

違法な暴力デモや政治活動の参加者、今後は普通の生活が送れなくなる可能性…銀行口座廃止や飛行機搭乗禁止へ

文=渡邉哲也/経済評論家
違法な暴力デモや政治活動の参加者、今後は普通の生活が送れなくなる可能性…銀行口座廃止や飛行機搭乗禁止への画像1辺野古新基地に反対する国会前のデモ活動(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 今回は、国際的なテロ規制が一段階進んだということについて、お伝えしたい。本連載前回記事では、8月15日に解散したSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が公安調査庁の監視対象団体となっており、メンバーはテロリスト予備軍や準テロリストのような扱いになっていることについて論じたが、国際的なテロ規制の深化は、そうした事情とも関連する問題である。

 まず、8月15日付日本経済新聞は、日本が韓国と台湾からの観光客を対象に、出発地の空港で日本への入国審査を済ませてから飛行機に搭乗する「事前審査(プレクリアランス)制度」を再導入する方針であることを伝えている。

 この制度は、かつて韓国・台湾との間で一時的に導入されていたが、日本がテロ防止などを目的に、日本の空港でも外国人の指紋押捺と写真撮影を義務付けたことで中断されていた経緯がある。まず、日本は韓国、台湾と交渉を行い、2017年中に同制度を再導入した上で他国にも拡大する意向だ。

重要犯罪者は飛行機に乗れない時代に

 日本の電子入国管理システムはアクセンチュアのシステムであり、アメリカのESTA(電子渡航認証システム)のクローンともいえるものだ。アメリカは、ノービザ協定加盟国に対して、ESTAの利用と重大犯罪防止対処協定(PCSC協定)の締結を求めている。事前審査のシステムはESTA加盟国にすでに導入されていたが、これまでは相互のリンクが不完全だった。

 PCSC協定は、アメリカが指定する重要犯罪の容疑者の個人情報と生体情報(指紋など)を相互交換するというものであり、この情報は、すでに国際的な要監視者リストに登録されている【※1】。電子入国管理システムでは、個人情報と指紋などの生体情報を国際的な要監視者のデータと自動的に照らし合わせ、要監視対象者をあぶり出すことで、事前に入国させない仕組みになっているわけだ。

 今回の発表は、そのシステムが本格的に始動することを意味する。すでに、国際合意によって17年から同システムの一部始動が決定されており、アメリカでは国内線でも同システムの一部が利用されている。そして、これが完全に動き始めることで、一定の犯罪を行った人は飛行機に乗れなくなるという事態になるわけだ。

 また、EU(ヨーロッパ連合)でも類似のシステムが始動を始めており、EU諸国のパスポートには生体情報が組み込まれ始めている。さらに、ビザに関しても生体情報が必須になっており、これも国際的な要監視者リストを利用するかたちになっているわけだ。そして、テロリストおよびテロ予備軍に関しては、国際的なガイドラインの策定が進んでおり、そのガイドラインに抵触する人物や団体関係者に関しても、国際的な情報共有が進むことになる。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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