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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高も

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高もの画像1「Thinkstock」より

 毎年、夏休みを利用して実家に帰省するという人も多いだろう。私もそんなひとりだが、20~30代の頃は、帰省するのが面倒くさくて仕方なかった。それが最近、40代も半ばを過ぎると、数カ月に一度、田舎の空気が吸いたくてたまらなくなるのだから驚きだ。これが年をとるということだろうか。

 実は数年前に、家庭の事情で一時的に実家にUターンしていたことがある。その際の経験から、今の自分に田舎暮らしは向いていないと痛感。現役時代に再移住するつもりはまったくない。ただ最近、リタイア後の田舎暮らしもいいかな、と漠然と思ったりもする。

 さて、今回は、そんな地方移住についてである。もし定年退職した夫が田舎暮らしに憧れて「地方移住したい」と言いだしたら、あなたは(妻)はどうするだろうか?

「終の住み処」について、男性は田舎派、女性は都会派に分かれる

 アサツーディ・ケイが2012年10月に実施した「全国一斉住み力調査」によると、「終の住み処」についての考え方を男女で比較した場合、中高年層において、それぞれ男性が“田舎派”、女性が“都会派”の志向が強いという。

 とくに60代ではその差が顕著で、「最後は田舎で暮らしたい」と回答した人が、男性は43.5%なのに対し、女性は17.4%。「最後は都会で暮らしたい」と回答した人が、男性は53.6%なのに対し、女性は72.5%という結果になっている(図表参照)。

「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高もの画像2
「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高もの画像3

 都会であくせく働き続けていると、「リタイアしたら、のんびり田舎で暮らしたい」と夢見る男性の気持ちはわからないではない。ただ、夫が田舎暮らしの夢を実現させるためには、まず妻の説得というハードルをクリアする必要がありそうだ。

移住にあたってもっとも不安なのは「収入」や「移住費用」など

 そして、やはり気になるのが移住にかかるお金だろう。

 ネオマーケティングが、国内で移住をしたいと考えている、あるいは移住が決まっている20~64歳の男女400人を対象に「移住」をテーマにした調査を実施したところ、移住にあたっての不安要素として、「収入」「移住費用」が上位にあがった(図表参照)。

「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高もの画像4

 さらに女性の場合、「収入」や「病院や公共施設が充実しているかどうか」「食事が合うかどうか」という項目以外は、男性よりも回答数が多いことがわかる。どうやら女性は、移住に関してさまざまな不安要素を抱えているようだ。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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