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自動車、製造の常識が根底から変更…「炭素繊維」納品めぐる死闘の幕開け

文=編集部
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自動車、製造の常識が根底から変更…「炭素繊維」納品めぐる死闘の幕開けの画像1帝人ビルディング(「Wikipedia」より/J o)

 帝人三菱ケミカルホールディングス(HD)に逆転勝利した。帝人は、米自動車部品大手コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(以下、CSP)社を840億円で買収すると発表。帝人による企業買収では過去最大となる。今年12月にCSP社の全株式をファンドなどから買い取り、完全子会社にする。

 CSP社をめぐっては、三菱レイヨンが提携に向けて協議中だった。三菱ケミカルHDは今年3月、傘下の三菱レイヨンが年内にCSP社と合弁会社を設立し、炭素繊維を使った自動車向けの複合部材の製造・販売を始めると発表していた。

 その後、CSP社の株式の6割を持つ米投資ファンドの意向で、会社自体を売却することに方針転換、間隙を縫って手を挙げた帝人が奪う格好になった。帝人に油揚げをさらわれた三菱ケミカルHDは、「別の形で北米の自動車事業を検討する」とコメントしている。

 CSP社は1969年設立で、米ミシガン州に本社を持つ。米国や欧州、メキシコ、中国などで、ガラス繊維の複合材料を使った車の前方部分のフードやフェンダーなど外観部品の製造・販売を手掛ける。

 シート・モールディング・コンパウンドという技術を使った複合材料では、世界シェアの50%以上を占める。納入先は、米クライスラー、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)、北米トヨタなど。自動車メーカーと直接取引する「ティア1(ワン)」と呼ばれる一次部品会社で、従業員は3200名、2015年12月期の売上高は646億円(1ドル102円で換算)だ。

 帝人は炭素繊維強化プラスチック事業との相乗効果を狙っている。世界各国で環境規制が強化されるなか、自動車の車体軽量化の流れが鮮明になるとみてCSP社の買収に踏み切った。完成車メーカーと直接取引できる「ティア1」になることで、自動車部門の売り上げを伸ばすことができる。

炭素繊維の市場は2020年に2倍に拡大

 炭素繊維の世界市場は拡大している。東レの推計だと、15年に世界で6万トンの需要だったのが、20年には10~12万トンまで増加するとみられている。

 炭素繊維の長所は軽くて強いこと。重さは鉄の4分の1だが強度は10倍。用途は航空機、風力発電のブレード(羽根)、天然ガスの圧縮タンクのほか、テニスラケットやゴルフクラブのシャフトといったスポーツ用品まで幅広い。

BusinessJournal編集部

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