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垣田達哉「もうダマされない」

イズミヤ、仕入れていない牛肉を「3割引き販売」との「おとり広告」発覚…疑問だらけ

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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イズミヤ、仕入れていない牛肉を「3割引き販売」との「おとり広告」発覚…疑問だらけの画像1イズミヤ本店(「Wikipedia」より/BJP039)

 12月21日、消費者庁は、景品表示法に違反する行為(おとり広告)があったとして、関西の大手スーパーマーケットのイズミヤとテナントである牛肉商但馬屋に再発防止を講じるよう措置命令を出した。

 イズミヤは2月13日に新聞折り込みなどで配布したチラシで「土 13日限り」として、3店舗で神戸牛を3割引きで販売すると広告したが、実際には神戸牛は一切仕入れされておらず販売していなかったのだ。これは、景品表示法の不当表示(消費者をだます表示)の一つである「おとり広告」に該当する。

 一般的な限定販売は「100個限定」とか「午前中10~12時」「夕方6時から1時間だけ」というように、個数や時間帯を限定するが、今回のセールは「1日中」という長時間の限定だった。消費者からすると「いつ行っても安く買えるありがたいセール」だった。

 ところが、消費者が「神戸牛が3割引き、これはお得!」と思って店に買いに行ったが、「神戸牛は最初から1品も置いてなかった」のである。「売り切れだから買えなかった」のではなく、そもそも「最初からまったく売る気がなかった」のだ。店側は「故意ではない」というが、結果的には「消費者をだまして誘引した」ことになる。

 摘発対象となった違反行為は、2月13日の広告だけであり、イズミヤ側は「故意ではない」と弁明している。そうであるにもかかわらず消費者庁が、行政指導(注意)ではなく、違反行為と断定し措置命令に踏み切ったのは「悪質性が高いと判断した」からだろう。

 1週間待てば御用納め(12月28日)になり、公表は年を越していただろう。店側からすれば「この書き入れ時に公表されたらたまらない」という思いは強かっただろうが、それを承知で今公表するということは、行政の「容赦はしない」という強い姿勢の表れである。

 今回おとり広告を行うに至った経緯について、イズミヤ人事総務部は当サイトの取材に対し、「意図的に虚偽の表示を行ったわけではありません」としつつ、次のように説明する。

「本事案は、但馬屋様で販売する商品をイズミヤの折り込みチラシに掲載しておりましたが、実際に店頭にその商品が入荷しているかをイズミヤ側がチェックできていなかったということです。通常、チラシ作成時には、商品撮影や宣伝内容を決めるとともに、商品の仕入れに関して、お取引先と詳細な打合せを行うことになっております。しかしながら、今回の特売に関しては、毎月定期的に開催しているものであり、チラシの内容は、以前使用したものから日付を変更するのみということ、また、但馬屋様のお店の商品が一部を除いて全品3割引になるという企画であり、特売を行うことだけの確認だけで、商品詳細を確認できていなかったことから発生したものであります。いずれにせよ、チラシに掲載したものを、販売できる状態でなかったということは、お客様に大変ご迷惑をおかけしたことに変わりはございません。誠に申し訳ございませんでした」

ずさんな管理

 今回のおとり広告事件には、疑問な点がいくつかある。

 まず、おとり広告は「本当に1回だけだったのか」という点である。この和牛3割引きセールは、毎月実施されていた。イズミヤは「他の日でもおとり広告が行われていた」とは認めていないが、一部マスコミでは、次のように常態化していたと指摘している。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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