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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

トラブルで客3時間待ちの某航空会社、ビジネスクラス客優先の差別対応は「正しい」のか?

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授
トラブルで客3時間待ちの某航空会社、ビジネスクラス客優先の差別対応は「正しい」のか?の画像1「Thinkstock」より

 筆者が出張先のアメリカから帰国する前日、搭乗予定であった航空会社に深刻なシステムトラブルが発生し、大変な目に遭いました。トラブルは翌日になっても完全には回復せず、多くの便で遅延や欠航が発生し、空港のカウンターでは搭乗便を変更するために長蛇の列ができていました。そうした列の中に筆者もいたのですが、窓口の担当者はたったの2名で、列に並んでいる客たちも「このような調子では、一体いつになったら自分の順番が回ってくるのか」とかなり苛立っていました。実際、3時間程度は待ったと記憶しています。

トラブルで客3時間待ちの某航空会社、ビジネスクラス客優先の差別対応は「正しい」のか?の画像2『すごい差別化戦略』(大崎孝徳/日本実業出版社)

 ところが、よく周りを見渡すと、列こそできていたものの比較的順調に流れているエリアがありました。カウンターには10名ほどのスタッフがおり、こちらとはまったくの別世界でした。

 すでに察しのついた方もいるとは思いますが、この航空会社をよく利用する客およびビジネスクラス以上の客を相手にするエリアだったのです。当然のことながら、これらの客は人数的に限られており、そうした客数に対して5倍の人員で対応しているわけですから、一般客の列と混雑具合は大きく異なってきます。

 筆者は、これほど混乱した事態においても、いわゆる上客に対しては利便性を損なわないサービスを提供し、通常の客に対しては「いくら待たせてもやむなし」とする徹底した姿勢に怒りを超え、完全にあきれ果ててしまいました。

上客優遇の是非

 こうしたことに対して、皆さんはどのように考えられるでしょうか。筆者同様、強い憤りを感じる方もいらっしゃるでしょう。もしくは、「航空会社をよく利用し、会社の利益に貢献しているのだから、上客がそうした特別の対応を受けるのは当然で、逆にあまり利用せず、利益にも貢献しない客が長時間にわたり待たされるのも当然である」と考える方もいらっしゃるでしょう。なかには、「自分は常に上客の立場なので、こうしたサービスを受けるのは当然であり、一般客の気持ちなど知ったことではない」という方もいるかもしれません。

 人それぞれに意見があるとは思いますが、こうした優良顧客を区別することは果たして企業の利益に貢献するのでしょうか。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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