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トランプ氏の米国第一主義は、米国民の生活苦と企業のコスト負担増の悲惨な結末を招く

文=田中秀臣/上武大学ビジネス情報学部教授
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トランプ氏の米国第一主義は、米国民の生活苦と企業のコスト負担増の悲惨な結末を招くの画像1ドナルド・トランプ次期米国大統領(写真:AP/アフロ)

 ドナルド・トランプ次期米大統領は11日午後(日本時間12日未明)、ニューヨークのトランプタワーで当選後初となる公式な記者会見を行い、世界中がその発言に注目した。

 トランプ氏とその陣営が強調したのは、主に3点である。アメリカの主要メディアが報じていたプーチン露大統領との関係(ロシアのハッキングや大統領選での支援問題など)、トランプ氏の抱える膨大な企業グループと大統領職務との利害背反問題、そして経済政策である。

 ロシアとの関係については、ハッキングの事実を認めると同時に、トランプ氏がロシアに弱みを握られているという一部報道を手厳しく批判した。特にCNNとバズフィードを「偽ニュース」と酷評した。また、自身の企業グループの経営権については、2人の息子に譲る法的手続きが終了したとしている。

 日本では、何か問題が発生すると「安倍政権のせいだ」とする、いわゆる“アベノセイダーズ”がインターネットや一部マスコミでも観察できる。同じように、トランプ氏についてもその発言を客観的な尺度ではなく、彼に対する嫌悪感や政治的イデオロギーで評価してしまう論者やメディアが多いのは事実だ。もちろん、この種の報道バイアスはどの政権も直面する問題ではあるが、トランプ氏の場合は特に過剰だ。今後、報道や識者の発言を鵜呑みにするのではなく、できるだけ多様な報道・意見をみて、証拠をもとに客観的な判断に努める必要がある。

目的はひとつ、手段は2つ

 さて、3つめのトランプ氏の経済をめぐる発言は、世界中のマーケット(株価、為替レートなど)に衝撃を与えたことからも、注目度の大きさがうかがえた。記者会見後の12日の日本市場では株価が急落し、また為替レートは円高ドル安に急激に傾斜した。ただし、本稿を執筆している13日には市場は落ち着きを取り戻し、株価は反転、為替レートも円安方向に戻している。これと似た事態はトランプ氏が大統領に当選したときにも観測され、いわば2回目の“トランプ・ショック”である。

 今回の記者会見からは、トランプ氏の経済政策は「目的はひとつ、手段は2つ」ということがわかる。トランプ氏の経済政策、いわゆる「トランプノミクス」の目的は、記者会見でも名言した「史上もっとも雇用を生み出した大統領になる」というものである。

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