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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国内、日本関係者のスパイ容疑での身柄拘束多発…反中国勢力流入に怯える習近平

文=相馬勝/ジャーナリスト
中国内、日本関係者のスパイ容疑での身柄拘束多発…反中国勢力流入に怯える習近平の画像1「Thinkstock」より

 立命館大学の中国人学者、周瑋生教授(56)が10月下旬、学会出席のために上海を訪れたあと、3カ月にわたって消息不明になっていることがわかった。なんらかの理由で中国当局によって拘束されているか、あるいは事件に巻き込まれて、日本在住の家族にも連絡ができない状態になっているとみられる。

 中国では一昨年から日本人男性3人と女性1人の計4人が逮捕され、スパイ罪で起訴されていることがわかっているほか、すでに釈放されているが、2013年には周氏同様、日本在住の中国人学者である朱建栄東洋学園大教授が、14年には神戸大学の王柯教授が、昨年3月には趙宏偉・法政大教授が中国で一時消息不明になった。

 これほど、日本人や日本関係者の拘束や逮捕が続くのは習近平指導部が発足してからで、日本人や中国人に限らず、日本在住の研究者らの間では「出張でおちおち中国に出かけられない」との不満の声が出ている。

 周教授は浙江省出身で、学生時代に日本に留学し、立命館大学で教鞭をとるかたわら、中国政府が積極的に開設を推進する中国語の学習機関「孔子学院」では立命館孔子学院の初代学院長を務め、現在は名誉学院長を務める。2007年に来日した温家宝首相の同大視察の実現に大きな役割を果たしたとみられるほどの、中国共産党政権べったりの人物だ。

 仮にその周氏が中国当局によって拘束、取り調べを受けているとなると、よほどの理由があるのだろうが、少なくとも反体制派ではないことがわかっているだけで、彼に関する情報が一切なく、今のところ想像の域を出ない状態だ。

 これまでの例では、朱教授の場合は、沖縄県尖閣諸島を中心とする日中関係に関する情報について、国家機関から取り調べられたと伝えられる。また、王教授の場合、少数民族の独立派との接触があったといわれている。

 日本人の4人については、すでに全員が逮捕され、スパイ罪で起訴されていると伝えられ、あとは判決を待つばかりのようだ。

 この4人のうち、ある男性は北朝鮮からの脱北者の2世で、中朝国境の吉林省をしばしば訪問し、脱北者の支援をしていたとされる。また、もう一人の男性は浙江省の中国海警の基地になっている島を訪問した際に逮捕されたとの情報が伝えられる。

 この2人について中国外務省スポークスマンは、「中国でスパイ活動を行った」と発表。これに対して、菅義偉官房長官は一貫して「日本はスパイ活動に従事していない」と否定している。

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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