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インテル元CEOが遺した“ミドル・マネジャーのためのマネジメントの極意”

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インテル元CEOが遺した“ミドル・マネジャーのためのマネジメントの極意”の画像1※画像:『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(ベン・ホロウィッツ序文、小林薫訳、日経BP社刊)

 名経営者によるマネジメント手法を説いた書籍は数多くある。だが、それらは経営者向けであることがほとんどだ。

 世の中は経営者より、中間管理職やチームリーダーと呼ばれる人のほうが圧倒的に多い。

 したがって、本当にビジネスの現場で求められるのは、中間管理職のためのマネジメントのノウハウではないだろうか?

現場で本当に必要なのは「ミドル・マネジャーのアウトプット」である

 2016年3月に亡くなったインテルの元CEO、アンドリュー・S・グローブは、名経営者でありながら、現場で本当に必要な叡智を遺していた。それが1996年に邦訳版が出版されて以来、名著として読み継がれ、2017年に復刊された『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(ベン・ホロウィッツ序文、小林薫訳、日経BP社刊)だ。

 仕事とは、何かを「アウトプット」していくことである。

 パン屋なら「パンを作ること」がアウトプットだし、営業マンなら「自社商品を売ること」。経理部門なら「お金に関する情報を出すこと」がアウトプットになる。

 では、中間管理職(ミドル・マネジャー)の「アウトプット」とは何か?

 「判断や意見」「方向づけ・指示」「製品計画の立案」などの事柄はアウトプットのように思えるが、これらはアクティビティ(活動)にすぎない。

 著者は、「マネジャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」だと述べている。

 「自分の組織のアウトプット」はわかりやすい。マネジャーが製造業の責任者の場合、チームが一丸となってつくった「完成された高品質な製品」がアウトプットだ。

 では、「自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」とはどんなものか。

 たとえば、製造工場の責任者が、より良質の製品をつくるため、材料の仕入れ先や製品管理、人事に関して働きかけるとする。

 すると、自分が属するグループ以外の“隣接諸組織”にも影響を与え、全体のアウトプットが変わる。

 この二つの「アウトプット」が高められるかどうか。それが、ミドル・マネジャーに求められる役割なのだ。

「マネジャーの部下」は、何人が適切か?

 著者は、マネジャーのアウトプットを高めるには、“テコ作用”が必要だと説く。

 たとえば、一人のマネジャーの意思決定を、一人の部下が実行するのと、三人の部下が実行するのでは、アウトプットに三倍の差が出る。

 本書では、いくつかの“テコ作用”について解説されているが、もっとも理解しやすいのは、この「マネジャーの影響を受ける人数」だろう。

 しかし、マネジャーが抱える部下は多ければ多いほど良い、というわけではない。著者は経験則から「6人~8人」がベストだと説いている。

 これは、部下一人に対して、週に約半日を充てなければいけない、という基準から考えられた人数である。週に二日では過干渉だし、週に一時間ではモニタリングの機会が得られない。過不足なく意思疎通と情報共有ができるための人数が「6人~8人」なのだ。

 部下の人数が、多すぎる、もしくは少なすぎる人は、チームの編成やコミュニケーションの頻度を見直したほうがいいかもしれない。

マネジャーの永遠の課題「ミーティング」の効率的な使い方

 また、マネジャーにとって、「ミーティング」への参加は欠かせない活動のひとつだ。情報やノウハウの共有、物事を処理する望ましい方法、人の意思決定の援助など、ミーティングの場でのみ遂行できることは多いからだ。

 著者は、「プロセス中心」と「使命中心」、二つのミーティングを意識することが、ミーティングを最大限に活用する道だとしている。

 「プロセス中心」は、定期的に行い、知識の共有化と情報交換をする。一方、「使命中心」は、特別な目的のために随時開かれ、意思決定をする場だ。

 インテルでは、特に「プロセス中心」のミーティングを「一対一(ワン・オン・ワン)」「スタッフ・ミーティング」「業務検討会」の三つに細分化している。そして、それぞれ異なった切り口と目的のためのミーティングとして機能させている。

 「ミーティング」と聞くと、会議室に集まって大勢で話す印象がある。しかし、本書では「一対一」のミーティングについて多く紙面が割かれており、その重要性が窺える。

 部下やプロジェクトを管理するためには、まず、マネジャーが自分自身を上手に管理していなければならない。マネジャーとして、何をしなければいけないか、どうすれば効率的か。本書はそのことを考えるための最高の教科書と言えるだろう。
(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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