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宮永博史「世界一わかりやすいビジネスの教科書」

宇宙、「開放」へ…人類に歴史的転換の衝撃度、企業の宇宙ビジネス幕開け、経済モデルも変動

文=宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授
宇宙、「開放」へ…人類に歴史的転換の衝撃度、企業の宇宙ビジネス幕開け、経済モデルも変動の画像1「Thinkstock」より

 昨年11月9日、宇宙関連2法案(いわゆる宇宙活動法)が参議院本会議で可決され、成立した。この法案は民間企業が宇宙事業に参入しやすくなるようにした、いわば宇宙業界の規制緩和といえる。国内外でベンチャーを中心に低価格衛星の開発が進むなど、宇宙ビジネスが身近になろうとするなか、ようやく法整備がその第一歩を踏み出した。そして、その実現に向けて期待されたのが、年明け早々の1月15日、鹿児島県・内之浦からJAXA(宇宙航空研究開発機構)によって発射されたミニロケットであった。残念ながら打ち上げ失敗に終わってしまったが、事業に失敗はつきものだ。この経験をぜひ次に活かしてほしい。

宇宙ビジネス解禁へ

 意外と知られていないが、宇宙活動法が成立する以前は、JAXAと三菱重工業しか、衛星を載せたロケットを打ち上げることはできなかった。民間が衛星を自由に使えるようになると、さまざまな応用が考えられる。

 たとえば、民間の気象会社として世界最大のウェザーニューズは、地球温暖化に伴って氷が溶けている北海航路開拓の可能性を長年にわたって探ってきた。北海航路が開拓できれば、船を使った欧州との航路は、現在使われている南周りの航路に比べて時間とコストの大幅な改善が見込まれる。

 氷が溶けているとはいえ、北海航路を船が安全に航行するためには、海上には出ていなうものの海中にある氷を正確に把握しなければならない。現在はロシアの水先案内人に頼らざるを得ないが、衛星から観測して船に情報を提供できれば利便性は大いに向上する。

 そうした観測情報を収集するため、ウェザーニューズは、海中の氷がどの位置に、どのくらいの深さに、どのくらいの広さにわたって存在しているか、雲の有無にかかわらず、海中の氷を衛星から観測できる技術開発を行ってきた。

 そのため、ウェザーニューズは東大発ベンチャーのアクセルスペースを長年支援してきている。同社が開発している衛星は、数億円と打ち上げコストが2桁も安く、ウェザーニューズも自社で衛星を保有することができるからだ。しかし、これまでは法律の規制もあって、カザフスタンなど海外で打ち上げざるを得なかったが、宇宙活動法によって国内で打ち上げが可能となる。

宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授

宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授

東京理科大学大学院
経営学研究科 技術経営(MOT)専攻教授。東京大学工学部・MIT大学院修了。NTT、AT&T、SRI、デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)を経て2004年より現職。主な著書に『ダントツ企業』『顧客創造実践講座』『世界一わかりやすいマーケティングの教科書』『幸運と不運には法則がある』『理系の企画力!』『技術を武器にする経営』(共著)、『全員が一流をめざす経営』(共著)、『成功者の絶対法則 セレンディピティ』などがある。

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