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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

吉田カバン、圧倒的使いやすさの裏に、あらゆるシーンで気の遠くなるほど使用検証→改良

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
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吉田カバン、圧倒的使いやすさの裏に、あらゆるシーンで気の遠くなるほど使用検証→改良の画像12017年春夏の新商品「ポーター ディライト」シリーズ

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数あるジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

 新年度を迎え、オフィス街には真新しいスーツに身を包んだフレッシャーズの姿が目につくようになった。そんな姿を見て、社会人生活が長くなった人も、かつての自分と重ね合わせたりするかもしれない。

 人事異動や転勤もある4月は、1月と並んで気持ちを新たにする時期でもある。この機会にカバンを買い替える人も多く、カバンの売れゆきは12月、4月、3月の順に多いという。

 そこで今回は、今どきのカバン選びについて考察したい。指南してもらったのはビジネスパーソンに人気の高い「吉田カバン」。正式な社名は株式会社吉田(正式表記は「吉」の上の部分が「土」)といい、創業82年を迎えた老舗だ。同社の近年の業績は右肩上がりとなっており、2016年5月期は過去最高の約230万本のカバンを出荷したという。

カバンに求められる「役割」

吉田カバン、圧倒的使いやすさの裏に、あらゆるシーンで気の遠くなるほど使用検証→改良の画像2カバン本体が軽い「タンカー」

 まずは、カバンに何を入れるかを検討したい。人によって異なるが、たとえば財布や定期入れ、モバイル機器、資料ファイルなどは必ず携行する人も多いだろう。それ以外に、図書を入れる人もいれば、突然の天候変化に合わせて折り畳み傘を常備したり、夏場が近づくと熱中症対策でペットボトル飲料も必携となってくる。昔に比べると、荷物が増えているといえる。

 どんなカバンを選ぶかは個人の好みだが、吉田カバンには製作哲学がある。

「当社の開発理念は、腕利きのカバン職人だった創業者・吉田吉蔵の考えである『カバンは物を運ぶ道具でなければならない』というのが基本にあります。そのため、デザイン性だけの意味のないポケットなどはつけません」と、同社広報部兼プロダクトマーケティング部マネージャーの阿部貴弘氏は話し、こう続ける。

「お客さまが吉田カバンに求める機能としては、たとえばノートパソコンやタブレット端末がきちんと収納できるかを気にする人が多いです。少し前は重要なデータの流出を防ぐため、パソコンなどを持ち出し禁止にした会社もありましたが、オフィスを離れても仕事ができる利便性は無視できず、緩和されてきたように感じます」

 スマートフォン(スマホ)1台でほとんどのことができる時代とはいえ、紛失リスクや画面の見やすさの巧拙もあり、すべてスマホで済ませるわけにはいかない。また、前述した気候変動や夏の高温化もある。昔から、雨の多い北陸地方や山陰地方では傘が必需品といわれ「弁当忘れても傘忘れるな」という格言があるが、いまや全国各地で傘が手放せない日が増えたように思う。

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

『吉田基準』 「吉田基準」という言葉は、吉田カバンの製造に携わる、職人さんたちの間で自然発生した言葉です。数値化された品質基準マニュアルなどはありません。では、なぜそう呼ばれるようになったのか―。 amazon_associate_logo.jpg

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