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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

バリウム検査、なぜ発がんの危険&がん断定不可なのに実施?初めからピロリ検査しない事情

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士
バリウム検査、なぜ発がんの危険&がん断定不可なのに実施?初めからピロリ検査しない事情の画像1「Thinkstock」より

ピロリ菌に感染していない人は、ほぼ胃がんにはなりません」
「ほとんどの胃がんは、ピロリ菌が感染した粘膜に発生します」

 多くの医師がこのように言います。

 胃がんは日本では発症リスクの高いがんで、年間約18万5000人の方が発症し、約5万人の方が亡くなっているといわれています。そのため、「早期発見、早期治療」が重要とされていますが、ピロリ菌が胃がんの原因ならば、まずはピロリ菌がいるかどうかの検査をして、感染している方だけが胃の精密検査を受けるようにするべきではないでしょうか。

 ところが胃がん検診は、ピロリ菌の有無にかかわらず、まずバリウム検査をして、疑わしい場合は胃カメラで内視鏡検査をするという流れがスタンダードになっています。最近では、ピロリ菌検査を行うことも多くなったようですが、検診で必ず行う検査ではありません。検診でピロリ菌の有無を調べようと思ったら、多くの自治体では自費で調べることになります。

 ピロリ菌除去について否定的な意見を述べると「胃がんの原因がピロリ菌だと判明したのだから、除去すべきだ」と議論になるのですが、それならばなおさら、まずピロリ菌検査をして、陽性の場合のみ内視鏡検査をするのが正当な順番だと思うのです。

 今回は、ピロリ菌除去について検討する前に、まずは胃がん検診の実際について考察してみます。

最初に行われる「バリウム検査」

 バリウム検査は、正式には「上部消化管造影検査」といわれ、食道・胃・十二指腸の病変をチェックするための検査で、「胃がんや食道がんの早期発見」が目的とされています。

 上部消化管造影検査は通常のレントゲン写真とは異なり、X線を連続的に照射します。バリウムはX線を透過しないので、バリウムが口から入り食道、胃、十二指腸へと流れていく様子を見ることができるのです。

 がんに限らず、炎症がおきると粘膜面の変化が見られます。滑らかな粘膜面ではバリウムは流れるように通過しますが、ポリープや潰瘍など炎症のある場所にはバリウムがとどまるのです。

 検査台の上でアトラクションさながらに、グルグルと方向を変えて撮影するのは、バリウムの流れの悪い場所があるかどうか、動画で確認しているのです。

 このバリウム検査は、人体にどのような影響を与えるのでしょうか。

 まず考えられるのが、検査の前に多量に服用するバリウムの副作用です。吐き気、不快感、便秘などはよく起こる症状ですし、腸閉塞、腹膜炎を発症することもあります。また、アナフィラキシーショックによる失神、意識消失、呼吸困難といった重篤な症状も報告されています。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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