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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

なぜ患者はお金を払っているのに、医師から詳細な治療データを教えてもらえないのか?

文=新見正則/医学博士、医師
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なぜ患者はお金を払っているのに、医師から詳細な治療データを教えてもらえないのか?の画像1「Thinkstock」より

 今日は病院から他院を受診するために出してもらった紹介状を、開封するかどうかというお話です。

“常識君”の解説です。

「大きな病気に罹ると、また簡単には治らない病気を患うと、ほかの先生の意見を聴きたくなります。ほかの先生の意見を聴くことをセカンドオピニオンといいます。また、転居すれば通院先も変更になるので、今までの治療経過を書面にして、次の医師にお願いするのです。そんな紹介状としてもらった封筒を開封するかということですよね?」

“非常識君”の意見です。

「医療情報を含めて、すべて患者側がお金を支払って治療された情報です。そして診断書の作成料も払っています。ですから、他院宛の封がしてある封書も開封して、そして中身をコピーして、また糊で封をするのです」

 常識君の質問です。

「なんでそんなことをするのですか?」

 非常識君の回答です。

「日常診療中に今までの経過を尋ねても、なかなか真剣に取り合ってもらえません。だからこそ、医師宛の手紙であれば、相当正しいことが書いてあるでしょうから、中身が知りたいのです。そして自分の情報なのですから、自分で開封してコピーを残すのです」

“極論君”の意見です。

「封をしてある書簡を開けるというのは、どうも納得できません。僕はそんなことをしないで、診断書を作成する医師に、僕用にもう一部印刷してもらうようにお願いします。または、自分でコピーしてから封をするから、糊で張らずに封書をくれるようにお願いします」

 非常識君の意見です。

「極論君のように、医師の前で、その紹介状のコピーが欲しいと言える人は実は少ないのです。でも自分の治療内容を知りたいのです。実は患者本人がどんな治療をされているかを自分で語れる人は一握りです。多くの患者はすべて医師にお任せなのです。そんなときにちょっと知りたくなって、医師宛の紹介状をそっとコピーすることは、とても参考になるのです。」

 常識君の意見です。

「確かに、非常識君の気持ちもわかります。僕の主治医は、検査結果もすべて印刷して持たせてくれます。『医療に詳しくない方が見てもわからないかもしれませんが、お渡ししますね』と言って、コピーをくれます。また、CTやMRI、超音波検査、病院によっては腹部や胸部の単純写真も、放射線科の医師が専門家の立場からコメントしたレポートが出されます。そんなレポートもみんなコピーして渡してくれますよ」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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