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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

家の中でペット飼うのは危険?世界で年間5万人が狂犬病で死亡、キスや一緒寝はNG行為

文=新見正則/医学博士、医師
家の中でペット飼うのは危険?世界で年間5万人が狂犬病で死亡、キスや一緒寝はNG行為の画像1「Thinkstock」より

 今回はペットからのヒトへの病気伝染のお話です。

 まず“常識君”の解説です。

「ペットからうつる病気は動物由来感染症ともいわれます。人類の歴史で猛威を振るった例はペストで、ネズミからうつる病気です。14世紀の流行では、4億5000万の世界人口のうち、1億人が死亡したともいわれています。また、犬からうつる病気で発症すると死亡率が100%といわれているのが、狂犬病です。日本で発症した狂犬病は、幸いにもこの60年間でありません。この間、数人が海外で感染して帰国後に死亡しています。

 日本は島国で感染症流入をコントロールしやすく、また狂犬病ワクチンを飼い犬に打つことが励行されているので、日本の犬にはまず狂犬病ウイルスはいません。つまり咬まれてもほぼ問題はありません。しかし、世界ではいまだに5万人近くが狂犬病で死亡しているともいわれ、中国では2015年には2600人近くが狂犬病で死亡しています。統計上の話ですから、実はそれ以上の可能性もあります。

 狂犬病は潜伏期が数週間から数カ月ともいわれており、狂犬病ウイルスを持つ動物に咬まれても、発症前にワクチンを打てば発症を免れることができます。海外では、とくに発展途上国では気軽に犬に触ることはやめましょう。さて、ほかにもたくさん犬からうつる病気、猫からうつる病気、鳥からうつる病気などがあります。詳細については、日本医師会が出している動物由来感染症ハンドブックが、読みやすく情報量が豊富です」

 そこで“極論君”のコメントです。

「ペストや狂犬病は日本ではまず起こらないと思っています。しかし犬ではパスツレラ症、レプトスピラ症、瓜実条虫症、エキノコックス症、猫では回虫症、Q熱、ネコひっかき病、トキソプラズマ症、鳥では鳥インフルエンザ、オウム病、クリプトコッカス症などが有名です。つまりペットは病気を伝搬することがあるので、僕はペットを飼うことに反対しているのです。リスクのあるものは遠ざけるのが、一番簡単で確実なリスク回避です」

感染症を防ぐ方法

 一方で“非常識君”のコメントです。

「命にかかわるペストや狂犬病がない日本では、僕は安心してペットを飼ってよいと思います。むしろ、ペットによる治療が心の病の病院でも行われていたり、老人介護施設でペットが認知症の進行防止にも一役買っているなどという報道も目にします。僕はペットは動物由来感染症を引き起こすリスクよりも、ストレス社会の昨今、とても役に立っていると思っています。また、ペットを家族同様に扱っている家庭も少なくないように思えます」

 極論君が非常識君に質問します。

「非常識君の家では、ペットとはどうやって接しているのですか?」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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