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渡辺雄二「食にまつわるエトセトラ」

割高な経口補水液、熱中症予防には買ってはいけない?主成分は塩?医師の指示必要な病者用

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト
割高な経口補水液、熱中症予防には買ってはいけない?主成分は塩?医師の指示必要な病者用の画像1「Thinkstock」より

「熱中症は怖い」「熱中症になりたくない」と思っている人は多いでしょう。そんな心理に巧みに付け込むようにして売り上げを伸ばしている製品があります。いわゆる「経口補水液」です。しかし、これは本来、熱中症を防ぐためのものではありません。しかも、ミネラルウォーターやスポーツドリンクに比べてかなり割高なのです。

 今年も暑い日が続き、熱中症で多くの人が病院に運ばれており、死亡者も出ています。熱中症は、高温の場所に長時間いることによって体温が上がり、激しい発汗によって体内の水分や塩分が少なくなって、体内の調節機能が異常を起こして発症します。めまいや立ちくらみ、筋肉痛、筋肉のけいれん、吐き気、倦怠感、意識障害など、症状は多岐にわたります。

 したがって、熱中症を防ぐためには、まず高温の場所に長時間いないようにすることです。さらに、水分と塩分を補給することです。すなわち、こまめに水を飲んで、食塩をなめるか、塩分を含む食品を食べるようにすることが大切です。

 ところで、経口補水液は、「脱水状態になった際に飲むもの」です。あるメーカーから販売されている経口補水液は、消費者庁から許可された「病者用食品」であり、「感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を伴う脱水状態、高齢者の経口摂取不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態等に適しています」とボトルに明記されています。さらに、「医師から脱水状態時の食事療法として指示された場合に限りお飲み下さい。医師、薬剤師、看護師、管理栄養士の指導に従ってお飲み下さい」とも書かれています。

 つまり、この製品は、感染性の腸炎や感冒(いわゆる風邪)などの病気になって、水分を補給することが困難になって脱水状態になった時に経口摂取するものなのです。そして、それは、医師から食事療法として飲むように指示された場合に限られるのです。

 ところが、有名タレントを使ったテレビCMなどによって、この製品は熱中症を防ぐために飲むべきであるかのように消費者に思わせています。そして、その概念は口コミやインターネットなどで広がったようです。そのため、経口補水液は、熱中症を防ぐための代名詞のようになり、ドラッグストアでは各社の製品がずらっと並ぶようになったのです。

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

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