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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

「巨象」中東航空3社の「過酷な運命」…欧米大手、容赦ない全面戦争勃発か

文=牛場春夫/航空経営研究所副所長
「巨象」中東航空3社の「過酷な運命」…欧米大手、容赦ない全面戦争勃発かの画像1「Thinkstock」より

コネクターの中東メジャー3社

 中東メジャー航空会社3社とは、販売高の大きい順にエミレーツ、カタール、エティハドを指し、エミレーツとエティハドがアラブ首長国連邦(UAE)、カタールがその名の通りカタールのそれぞれ国営ナショナル・フラッグキャリアである。UAEとカタールの両国がペルシャ湾に面していることから「ガルフキャリア」とか、両国の基地をハブとして長距離国際線トランジット貨客を輸送する航空会社であることから、「コネクター」「トランジットキャリア」とも呼ばれる。運航開始は比較的遅く、エミレーツが1985年、カタールが93年、エティハドに至っては2003年と歴史も浅い。なおこれら3社以外にも、この地域の東側、イスタンブールを基地とするトルコ航空(国際線世界ランキング第10位)が存在する。

 UAEもカタールも他の中東産油国と同様、いずれは天然資源が枯渇する宿命を背負う。枯渇後を見据えて国の改革を行い、海外に投資して産業構造の多角化を進めている。そのなかで中東の小国であるUAEとカタールは、貨客の中継地点として生きていくことを考えた。自国を中継地点として、西(欧州・米州)=東(東南アジア・東アジア)=オセアニア=アフリカを最短時間で結ぶコネクターになるという発想だ。そのためにベースとなる港湾や空港などのインフラを重点的に整備するとともに、輸送の担い手となる航空会社を設立した。

 このような国家戦略とそれを実行させる潤沢なオイルマネーをバックに、中東3社は破竹の勢いで急成長した。11年から16年の5年間で、3社合計で2倍(195%)に供給(ASK)【註1】を拡大させた。特に中東3社の中で会社規模ダントツのエミレーツは、ワイドボディーだけ259機(うちスーパージャンボA380型機96機)を運航して路線網を拡大、輸送力で世界一の航空会社に躍進した。同社の基地であるドバイ国際空港は、国際線旅客数でこれまた世界一の空港に成長した。カタールとエティハドも負けていない。それぞれ世界第5位と第14位で、国際線だけに限れば中東3社は米国メジャー3社と遜色ない。今ではこれら3社は、スーパーコネクター・キャリア(SCC)とさえ呼ばれている。

【註1】ASK:Available Seat Kilometer
有効座席キロの略、航空会社の生産量を表す指標のひとつで航空機1座席を1キロ運ぶ単位を表す

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