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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

インスタ映え競争でリア充偽装する人々…貴重な体験を楽しみ損ね「本末転倒」の恐れ

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
インスタ映え競争でリア充偽装する人々…貴重な体験を楽しみ損ね「本末転倒」の恐れの画像1「Thinkstock」より

 今夏、自撮り写真が“インスタ映え”するという理由でナイトプールが大盛況となった。さらに、インスタ映えするスポットに人が殺到するという現象も起きているが、なぜ近年若者は、こぞってスマホで自撮り写真を撮りたがるのか。また、こうしたトレンドは若者の消費行動とどのようにつながっているのか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に、マーケティングの視点から解説してもらった。

非日常的な体験が少ないと不安に?

「かつては、モノを買うことで自己の優越感を満たす、いわゆる“モノ消費”がメインでした。そのときは高級な車や時計、バッグ、サイフなどを身に着けることで、そのモノが、見せたい自分を表現してくれる『メディア』となってくれていました。ですが、SNSが広く普及した現代では、所有物が知人の誰かとかぶらないほうが稀な時代です。その結果、モノで自分らしさをアピールしづらい時代になってしまいました。そこで、“モノ消費”に替わって“コト消費”が主流になってきたのです」(有馬氏)

“コト消費”とは、要するにサービスの消費。TwitterやInstagramの投稿などで人気となりやすい夏フェスやアウトドアレジャーなども、基本的にはこのサービスに分類される。

「サービスは無形で、生産と消費が不可分といった特徴があります。また、消費と同時にサービスは消滅してしまうので、夏フェスやイベントに参加するという“経験価値”は、そこでいくら自分が貴重な体験や感動をしたとしても、それを誰かに伝えるには言葉で表すしかアピールする方法がありません。でも、それではいまひとつ説得力に欠けますので、他者に自身の体験を伝えるための“証拠”として写真を撮る必要があるわけです」(同)

 だが、最近では買いもしないのにレコード店に入店し、インスタ用に撮影して帰ってしまう人や、撮った瞬間に用済みとばかりに購入した食べ物を食べずに捨てるという行動を取る若者もいるとか。このような行動の心理は、理解するのがなかなか難しい。

「インスタ映えするような体験は非日常的な体験です。この体験が少ないと、自分の生活がつまらないものだと他者に思われるのではないかという不安が募り、その結果がこのような行動につながっているのでしょう。自分の日常をなんとか充実したものに見せようとする人が増えている証拠に、最近ではそのような需要に合わせた『リア充代行業』なんてものもありますからね」(同)

 このような“リア充偽装”がエスカレートする背景とはなんなのか。

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