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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

【日馬富士暴行】白鵬と横審は大相撲を侮辱、「正しい貴乃花親方」への批判は間違い

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
【日馬富士暴行】白鵬と横審は大相撲を侮辱、「正しい貴乃花親方」への批判は間違いの画像1貴乃花親方(写真:日刊スポーツ/アフロ)

 大相撲の九州場所は11月26日に千秋楽を迎え、翌27日に横綱審議委員会(以下、横審)が開かれた。場所前の秋巡業中に起きていた横綱・日馬富士(伊勢ケ浜部屋)による貴ノ岩(貴乃花部屋)への暴行事件が話し合われた。

 日馬富士に対する処分が注目されたが、横審委員長の北村正任(まさとう)毎日新聞社名誉顧問が委員会後に会見して、次のように述べた。

「暴力があったということはほぼ間違いない、それが起こった経緯とか結果がどの程度かは調べなければならないが、暴力があった、協会がこれだけ暴力をなくす努力をしている最中にあった、これは非常に厳しい処分が必要だろうと」

 この横審の対応はまことに場当たり的で、私に言わせれば横審の存在責任を放棄したものである。日馬富士への引退勧告が遅れれば遅れるほど、国技である大相撲の最高位である横綱という地位が汚されていく。

横審はただちに日馬富士に引退勧告を

 大相撲において、横審の第一の責務とは大関のなかから横綱となる力士を日本相撲協会に推挙することだ。その一方で、「横綱としての体面を汚す場合」などがあったと認められる場合、委員の3分の2以上の決議で「注意」や「引退勧告」を行うことができる。横審の委員は現在9名で構成されていて、大相撲出身者はいない。

 その機能や委員構成から、横審はプロ野球におけるコミッショナーに匹敵する、大相撲における最高権威である。いってみれば、大相撲を取り巻くすべての事象に関する最高かつ最終の判断者である。横審はこの権威によって、大相撲への信頼を守る最後の砦といってよい。

 それが、なんとしたことだろう。北村委員長は会見で「具体的にどの処分が(適当なのか)という話には、きょうはなっていない」と発言したが、これは前出コメントと合わせると、「暴行事件の詳細について報告が必要だ」「さらなる調査が必要だ」という認識を示している。

 本事件について相撲協会内で調査を担当しているのが、危機管理委員会である。不祥事の予防や発生した場合の適切な対応などを目的として、相撲協会が2012年に設置した。高野利雄外部理事(元名古屋高検検事長)が委員長を務め、力士出身者では尾車(元大関琴風)、鏡山(元関脇多賀竜)、春日野(元関脇栃乃和歌)が理事に名を連ねる。

 この危機管理委員会の聴取に対して、日馬富士は暴行の事実を認めている。そして、事件は警察に対して被害届が出された、立派な刑事事件である。傷害事件なのは、現段階で明らかだ。警察による調査は続いており、11月28日には事件の発端となったとされる横綱・白鵬への聴取が行われるという。横綱の一人が刑事被告人となる可能性があり、もう一人の平成の大横綱が聴取される。横綱の品格という前に、大相撲そのものの価値が地に堕ちているのだ。この一大危機に横審は迅速に対応し、結論を出していかなければならない責務がある。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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