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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

新築住宅、過去4年で1割値上がり…環境性能等の次は空気性能でさらに値上がり

文=山下和之/住宅ジャーナリスト

 国土交通省の『建築着工統計調査報告』によると、2016年度の新設住宅着工戸数は約97.4万戸でした。建設経済研究所の予測では、17年度は96.4万戸で、18年度が96.5万戸とされていてしばらくは安定しているものの、長期的な視野に立つとその後は大幅な減少が避けられません。

 野村総合研究所の予測では、少子高齢化などの進行により、30年度には年間54万戸まで減少するとしているのです。現在の半分近い市場に縮小するわけで、住宅メーカーはその対応に今しきりに頭をひねっています。
 
 その対策として、成長著しいアジアなどの海外市場への展開が注目されていますが、国内での生き残り策としては、シェアの向上と1棟単価の引き上げが大きなテーマになっています。

大手住宅メーカーの1棟単価が大幅に上昇

 市場が半分に縮小しても、シェアを2倍にできれば、売上高は維持できます。それに1棟単価の引き上げが加われば、むしろ売上高は増加します。
 
 それを目指し、大手住宅メーカーではその技術力、資本力などを活かして他社との差別化を図り、1棟単価の引き上げに力を入れています。実際、大手住宅メーカーの決算資料などをみると、軒並み1棟単価が上がっています。

 たとえば、積水ハウスの1棟当たり単価は、13年には3450万円だったものが、16年には3719万円に上がり、17年の計画では3791万円を見込んでいます。無事に計画を達成できれば、4年間で9.9%の価格アップです。

 また、三井ホームでも13年度上期の平均が3490万円だったものが、16年度下期には4030万円に達しています。こちらは2桁台の上昇率になります。17年度上期は少し金額が落ちていますが、同社によると「床面積縮小による一時的な現象で、17年度下期には再び上昇する見込み」としています。

価格引き上げの2大要素は耐震性能と環境性能

 その価格引き上げの要因になっているのが、耐震性能と環境性能の向上です。住まいの安全・安心のためには耐震性能の向上が不可欠であり、ユーザーも安全・安心のためなら多少のコストアップはやむを得ないと考えています。住宅金融支援機構の『2016年度民間住宅ローン利用者の実態調査<民間住宅ローン利用予定者編>(第2回)』によると、住まい選びで耐震性能を重視する人のうち54.6%が、「コストアップしても、耐震性能を高めたい」としています。環境性能についても同様で、環境性能を重視する人の57.4%が「コストアップしても、断熱性能を高めたい」としているのです。

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