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山口健太「IT業界最前線」

LINEの自転車シェアリング、「日本の交通」を変える可能性

文=山口健太/ITジャーナリスト

 昨年12月20日、LINEが中国Mobike(モバイク)との資本業務提携を発表し、国内の自転車シェアリング事業への参入を発表した。中国で急速に普及する自転車シェアは、日本においても実験的なものを含め各地で導入が進んでいる。

LINEの自転車シェアリング、「日本の交通」を変える可能性の画像1LINEの出澤剛CEO(左)が中国Mobike(モバイク)との提携を発表。会見にはモバイク創業者のHu Weiwei氏(右)が来日した

 自転車シェアは単なる「貸し自転車業」を超えて注目を集めている。その背景には、UberやAirbnbなどに代表される世界的なシェアリングエコノミーの拡大がある。

世界で2億人が利用する最大手と提携

 世界的に広がりを見せる自転車シェアだが、規模が大きいのは中国だ。中国では多くの事業者が都市部に大量の自転車を投入しており、鉄道やバスを補完する存在として交通のあり方を一変させている。

LINEの自転車シェアリング、「日本の交通」を変える可能性の画像2中国の都市部ではカラフルなシェアバイクが縦横無尽に走っている(2017年8月に上海で撮影)

 そのなかでもモバイクは、世界で2億人が利用する最大手の事業者だ。15年に設立後、17年にはWeChatを擁する中国テンセントから6億ドルの出資を受け、評価額は30億ドルに達した。12月現在、世界200以上の都市に800万台の自転車を投入し、1日に3000万回利用されているという。

LINEの自転車シェアリング、「日本の交通」を変える可能性の画像3わずか3年で世界200都市で2億人が利用するサービスを築き上げた

 急拡大の背景には、自転車シェアリングを支えるシステムがある。車体に搭載したGPSで位置を管理し、鍵にはスマホで解錠できるスマートロックを搭載。独自開発した安価な車体にはパンクしないタイヤやチェーンのない駆動部を備えており、大量投入してもメンテナンス費用はそれほどかからないという。

LINEの自転車シェアリング、「日本の交通」を変える可能性の画像4GPSやスマートロックを搭載したモバイクの車体

 借り方はスマホで車体のQRコードを読み取り、中国で普及する「WeChat Pay」などのスマホ決済で料金を支払う。料金は30分で1元(約17円)程度と安い。返却の際には、歩道に設けられた専用の置き場以外に自由に乗り捨てることもできる。

 そのままでは自転車が街中に散らばりそうだが、所定の置き場に自転車を戻すことでスコアが上がる仕組みを導入するなど、ユーザーに自発的に秩序を維持させるインセンティブを与えているのは面白い。

 このようにモバイクの強みは、自転車シェアをうまく機能させるためのシステムにある。そういう意味では世界のシェアリングエコノミーを牽引するUberやAirbnb、WeWorkに肩を並べる企業といえるだろう。

山口健太/ITジャーナリスト

山口健太/ITジャーナリスト

1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。
山口健太

Twitter:@yamaguc_k

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