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パチンコホール、「出玉規制」で倒産激増?ヘビーユーザー離れの危機、大手は異業種参入も

文=長井雄一朗/ライター
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パチンコホール、「出玉規制」で倒産激増?ヘビーユーザー離れの危機、大手は異業種参入もの画像1インバウンド対策で外国人を招待するマルハンの店舗(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 パチンコホールの倒産が急増している。東京商工リサーチによると、2017年のパチンコホールの倒産は29件(前年比141.6%増)で3年ぶりに前年を上回った。また、負債総額は291億9500万円(同67.6%増)で2年連続で増加し、負債100億円以上の大型倒産も4年ぶりに発生した。

 パチンコ遊技人口は1994年には約3000万人だったが、現在は約940万人と3分の1の水準にまで落ち込んでいる。一時は「30兆円産業」といわれたパチンコ業界だが、市場規模は20兆円を下回ろうとしている。唯一の救いは一部のヘビーユーザーの単価が上がっていることだが、これにも限界があるだろう。

 そんななか、追い打ちをかけるように2月からは出玉規制が開始された。これにより「地元密着型の中小ホールはさらに苦しくなる」と指摘するのは、東京商工リサーチ情報本部情報部の谷澤暁課長だ。今、パチンコ業界に何が起きているのか。

倒産が2.4倍に、原因の6割超が「販売不振」

 前年比2.4倍を記録したパチンコホールの倒産を原因別にみると、「販売不振」が19件(前年比171.4%増)で全体の65.5%を占めている。続いて、グループ企業に連鎖した「他社倒産の余波」が5件(前年ゼロ)、店舗や機器の投資負担から資金繰りに窮した「過小資本(運転資金の欠乏)」が3件(前年ゼロ)となっている。この背景には何があるのか。谷澤氏が解説する。

「パチンコ人口が減少し業界全体の売り上げが落ちているなかで、地元密着型の昔ながらのホールの倒産が増えました。一方で、ユーザーが多い地域に大手が出店し中小からユーザーを奪うという構造もあります。そのため、1店舗当たりのパチンコとパチスロの台数は増えており、ホールの規模は拡大する傾向にあるなど、大手による寡占化が進んでいます。パチンコ業界も、勝ち組と負け組の構図がはっきりしてきたといえます」(谷澤氏)

 パチンコホールは、最盛期の95年には全国で約1万8000店だったが、2016年には約3分の2の約1万900店に減少している。一方で、倒産ではなく休廃業・解散を選択するケースは減っており、17年は41件(前年比16.3%減)で3年ぶりに前年を下回った。今後は、大手によるM&A(企業の合併・買収)が進展するのかといえば、そうでもないようだ。

「古いホールを買収するときは、環境や立地などの条件を考慮するでしょう。それらの条件が良ければ大手も動きますが、良くなければ新店舗を展開したほうがメリットは大きいのです」(同)

 パチンコホール市場は在日コリアンが8~9割を担っているとされるが、その在日コリアンも今は高齢化による後継者不足がささやかれている。さらに、昔と比べて在日コリアンの就職状況が改善したことで、一部からは「必ずしもパチンコ業界に行く必要はない」「無理してオヤジの仕事を継がなくてもいい」といった声も上がっている。在日コリアンの就業の幅が広がっていることも、パチンコ業界が苦境に陥っている要因のひとつといえそうだ。

 いずれにしても、今後のパチンコホールは寡占化が進み、1店舗当たりの面積は拡大する傾向が続くという。

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