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小薮浩二郎「食品の闇」

うどん・パンに含有の加工デンプン、確固たる安全性検証されず広く使用?

文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問
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うどん・パンに含有の加工デンプン、確固たる安全性検証されず広く使用?の画像1「Thinkstock」より

 加工デンプンには、一般の食品添加物とは違う重大な問題点があります。

 まず、単一な物質が得られないことです。例えば小麦デンプンに、発がん性物質であることが否定されていないプロピレンオキシド(以下、P)その他の化学薬品を加えて、ヒドロキシプロピル小麦デンプンを合成した場合について考えてみましょう。

 デンプンはブドウ糖という輪が数千個つながった鎖みたいなものです。この1つの輪には、Pが結合できる部分が3カ所あります。仮に輪が1000個つながった鎖とすると、Pが結合できる部分は3000カ所になります。このような鎖に3000個のPを結合させるとき、Pはどの輪に結合するか、また一つの輪の3カ所のうちのどこに結合するのか、コントロールできません。

 Pが結合した小麦デンプン(ヒドロキシプロピル小麦デンプン)とは、このようなものです。つくるたびにPの結合部分は異なります。つまり、同じ化学構造のものはつくれないのです。ですから安全性試験に使用した合成デンプンと、実際に食品に使用される合成デンプンは異なるのです。これは大問題です。

 また、小麦デンプンと馬鈴薯デンプンでは、当然デンプン自体の化学構造が異なります。Pが結合した小麦デンプンと、Pが結合した馬鈴薯デンプンとはまったく別物質です。Pが結合したさまざまなデンプンでの安全性試験は、行われてはいないのです。

 化学式のわずかな違いでも、安全性は大きく異なります。例えばメチルアルコールとエチルアルコールはわずかな違いしかありません。メチルアルコールは猛毒で飲めば失明したり死亡したりします。一方、エチルアルコールはお酒に含まれているアルコールです。

 結論として、加工デンプンの確固たる安全性は検証されていないということです。厳密な安全性の証明は不可能です。この点が他の添加物と大きく異なるのです。

「加工デンプンは安全性に問題はない」というのであれば、さまざまな加工デンプンについて医薬品のように人での実験をすべきです。

 ある種の加工デンプンについては、成人に4日間食べさせて便通などを調べたところ、問題はなかったというデータはあります。しかし、発がん性物質でも6カ月以上連続して食べさせないと、発がんしません。加工デンプンが添加されたパンやうどんなどを、ほぼ毎日、数十年にわたって食べる人もたくさんいます。

 安全性を立証するためには、医師の監督下で被験者を幼児、成人、老人、男性、女性の各群に分けて、加工デンプンを数年間にわたって食べさせ、試験すべきです。そして次のような検査を行うべきです。

・血液検査
・心電図、脳波、CTなどの検査
・精神異常の有無
・神経系統への影響
・ガン発生の有無

 まずはこうした試験を行うべきです。ちなみに、この試験を行っても、他の添加物や食品成分との化学反応などについては、別途検証が必要となります。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

1945年、岡山県生まれ。九州大大学院農芸化学専攻(栄養化学講座)修了。製薬会社の研究部門ほか、添加物開発の最前線で添加物研究に従事する。研究歴40年以上で、第一人者。現在は、食品会社の顧問、食品販売会社特別顧問(品質管理)に携わる。著書に「悲しき国産食品」「食品業界は今日も、やりたい放題」「食品選び・おとなの知恵 ちょっと高くても、コッチ!」など。

Twitter:@eQuqANeNct8MdU5

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