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世界最薄1ミリ! シチズンの「究極の時計」 根本から部品設計見直し実現

世界最薄1ミリ! シチズンの「究極の時計」 根本から部品設計見直し実現
シチズン時計が販売するエコ・ドライブワン

 GPS(衛星利用測位システム)機能を搭載したり、スマートフォンと連携して時刻を修正したりするなど、時計の技術は刻一刻と進化し続けている。持ち主の心拍測定ができる「スマートウオッチ」も台頭する中、シチズン時計は昨年秋、機能やデザインを可能な限り簡素化した“究極の時計”を世に送り出した。ムーブメント(駆動部分)厚1ミリ、ケース厚2.98ミリの世界最薄のアナログ式光発電腕時計「エコ・ドライブワン」だ。時計の常識を打ち破るスリムなボディーには、繊細な技術と「世界初」にこだわる大志がこめられている。

 ◆邪魔にならない着け心地

 モントリオール五輪が開催された1976年。シチズンは世界で初めて太陽光で発電し、電池交換不要のアナログ式腕時計を発売。95年からはブランド「エコ・ドライブ」として展開し、環境に優しい腕時計として世界中に広まった。

 そして、日本人選手の活躍で国民が熱狂したリオデジャネイロ五輪が開催された2016年。この年に向けて、シチズン社内では、時計業界の世界記録に挑戦するプロジェクトが着々と進行していた。

 「時計の本質を見直し、すべてをそぎ落としたシンプルで薄く美しい時計に挑戦しよう」

 戸倉敏夫社長の号令を受け、シチズンがエコ・ドライブワンの開発に動き出したのは14年夏のこと。アナログ式光発電腕時計の40周年モデルとして企画され、開発・企画部門の社員の士気はいつになく高まった。

 「時計にたくさんの機能を搭載していくと、どうしても大きく厚くなってしまう。それとは逆に、着け心地や使いやすさを追求した研ぎすまされた時計を作ろうと考えました」

 そう振り返ったのは時計開発部設計課の今村和也さん。アナログ式光発電腕時計では、シチズンが02年に発売したモデル「スティレット」のムーブメント厚1.91ミリが世界最薄とされていた。エコ・ドライブワンは、この約半分の薄さを実現した。

 目指したのは「引き算の美しさ」だ。一見、何の変哲もない時計だが、時計につきものの時刻を示す文字や秒針は省かれている。装着してみると、手首にフィットして軽い。時刻を見ないときはワイシャツの袖の中にすっぽりと隠れるほどの薄さで、仕事の邪魔にならない。

 ◆日立マクセルとの共同開発で0.9ミリまで縮小

 わずか1ミリのムーブメントの中に、時計を動かすのに必要な85個の部品を収めるのは容易ではなかった。そこで、81個の部品の設計を根本から見直すことにした。

 中でも重要な部品が、永久磁石と歯車を組み合わせ、時計の針を動かす「心臓部」に相当するローター。従来サイズは厚さ1.47ミリで、1ミリのスペースからはみ出してしまう。これを0.96ミリまで薄くするために、磁石と歯車を結ぶ「座」と呼ばれる金属部品を使わず、レーザー溶接で固定する斬新な技法を編み出した。厚さ1ミリ以下のものが存在しなかった2次電池も、電池メーカーの日立マクセルとの共同開発で0.9ミリにまで縮小した。

 このほか、時計を動かすのに欠かせないコイルについても芯は厚さ0.3ミリ、巻線は0.017ミリの極細サイズにするなどの工夫を凝らした。

 薄型化は実現したものの、喜んでばかりはいられなかった。「薄くなると水圧に弱くなり、水にぬれると形がたわみやすくなるといったデメリットが生じる」(今村さん)からだ。

 このため、ガラスを囲むベゼルや裏蓋に「バインダレス超硬合金」「サーメット」という強度に優れた新素材を採用して外装を頑丈にした。薄さとたくましさを兼ね備えた「オンリーワン」の時計が生まれた。今村さんは「どんな形をしても、正確な時刻を知らせる時計を作っていきたい」と語った。

 次はどんな世界記録が生まれるのか。人間でいえば、40歳はいろいろなことにまだ挑戦できる年齢でもある。技術の進化に終わりはない。エコ・ドライブも成長を続けていく。(宇野貴文)

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