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経産省元審議官、村上ファンドなんて小悪党!?

外資系証券、大口投資家がプレヒアリング利用のインサイダー取引で大儲け?

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課徴金はたった5万円

 たとえば10年の東京電力、国際石油開発帝石、日本板硝子、昨年のフェローテックの公募増資の際、増資発表前に大量の信用売りがかかっており、インサイダー取引の疑惑を呼んでいる。どのケースも信用売りに引きずられて株価が下落し、増資発表後の新株発行価格は安値に誘導されているから、その新株を買って信用売りのポジションを解消すれば、濡れ手に粟の大儲けができたことは確実である。その金額は一度に億円単位で、経産省の元審議官が儲けた約230万円とは比較にならないほど大きい。

 これは悪質な相場操縦ではないのか? 得たのは不正な利益ではないのか? インサイダー取引ではないのか?

 金融庁もそんな市場からの疑問の声に対し、「規制や監視を強化する」と一応コメントは出している。昨年8月には、企業が公募増資を発表後、新株発行価格が決まる前にカラ売りをかけた投資家がその新株を買うのを禁止。証券会社には公募増資を公表する際、投資家にその旨を周知せよと義務づけた。

 しかし、これはメスを入れたように見えて、実はそうではない。公募増資の発表後よりも発表前にかけたほうがカラ売りの利益はずっと大きいのに、その場合の新株買いは禁止されていないのだ。「投資家が公募増資の予定をまだ知らない段階」という建前だからだが、その予定をプレ・ヒアリングで海外の機関投資家が知っていたとしたら、それは立派なインサイダー情報ではないのか?

 3月、国際石油開発帝石の問題については、証券取引等監視委員会がとうとう重い腰を上げた。増資の主幹事・野村證券から漏れた情報に基づき、カラ売りなどを行ったとして、中央三井アセット信託銀行に課徴金納付命令を出すよう、金融庁に勧告したのだ。中央三井はこの取引で1400万円もの利益を上げたが、追徴金はなんとわずか5万円。インサイダー取引の疑惑が持たれているその他の案件については、「疑惑が濃い10社にデータ提出を求めた」「国内法人も対象か?」などと一部メディアで報じられながら、4月1日現在、いまだに当局のアクションがない。しかし、ずっと不問に付すならこの先、インサイダー取引で何人摘発しようと、「小悪党ばかり捕まえて、市場をゆがめる巨悪は見逃している」と言われてもしかたない。
(文=寺尾淳/フリーライター ファイナンシャルプランナー)

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