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天才ジョブズを生んだのは日本!?

アップル独り勝ちの秘訣は、日本発「ものづくり技術」にあった!?

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 そこで彼は、当時ペプシコ-ラの事業担当副社長を務めていたジョン・スカリ-を三顧の礼で迎えて経営再建を託しが、その後2人は経営方針の違いや社内事情から対立し、ついにジョブズ自身がアップルから解任・追放されてしまう。社長がスカリ-に交代してもアップルの経営はよくならなかった。売れない製品を大量に抱え、経営内容は悪化。当時シリコンバレ-では、アップル社は倒産するか吸収合併されるかしかないといわれるほど悲惨な経営状態であった。

 一方、ジョブズはアップルを追放されてからネクスト社を設立、宿敵スカリ-を見返すべく革新的な新製品の開発に夢中であった。その当時彼は、「売れ残りの過剰在庫は会社を潰す」というアップル時代の苦い経験から、「どうしたらムダな在庫を持たずに効率的なものづくりができるか?」という問題に真剣に悩んでいた。そんな時出会ったのが、後に彼のビジネスの懐刀となるティム・クック(アップル現CEO)である。

 当時クックはコンパックコンピュ-タに勤めていたが、商品開発、デザイン、製造技術にまで幅広い知識と経験を持つ有能な人物であった。彼はデュ-ク大学MBAコ-ス出身のプロのビジネスマンであったが、大学時代にオ-バ-ン大学でIE(経営工学)を徹底的に学んだ経歴から、ものづくりの知識や経験が豊富にあった。特に日本のジャスト・イン・タイム生産やかんばん方式にも精通し、「在庫は悪である」との思想の持ち主であった。つまり、経営者として在庫問題に苦しんでいたジョブズにとって、まさにうってつけの人物との出会いであったのだ。

 皮肉なことに、2000年にアップルから追放されたジョブズは、経営悪化に苦しむアップル社の経営再建の切り札として請われ、社長復帰したのである。ジョブズは真っ先にクックを業務担当副社長としてスカウトし、協力して経営再建に取り組んだ。

 その時にアップルは、クックが精通する日本式ジャスト・イン・タイム生産を大々的に取り入れ、注文を受けてから製品を生産することを徹底し在庫を減らし、その結果、当初4カ月あった生産〜販売までのリードタイムを2カ月に、2カ月をさらに6日にまで短縮することに成功した。長年、アップルの経営を苦しめた売れない過剰在庫問題の解決に成功したのである。

 そう、こうしたヒット商品の製造〜販売に至る一連のプロセスを支えたのは、日本の「ものづくり」から学んだジャスト・イン・タイム生産方式だったのだ。
(文=野口恒)

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