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“モリゾウ”社長に社内からも「アホづら」と陰口

株価低迷のトヨタは豊田章男社長で立ち直れるのか?

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 株式市場(マーケット)が求めている経済合理性と、どう折り合いをつけるつもりなのか。その決意はあるのか。トヨタの国内事業を担う単体決算を見ると、02年3月期の営業赤字は4期連続の赤字で4398億円に達した。今期も700億円の赤字を予想。「赤字を消すために今期中にできるだけの努力をする」(小沢哲副社長)としているが、黒字化のメドは立っていない。「いいクルマを作る」などというきれいごとで経営ができるわけがない。短期間のうちにリターン(利益=数字)を求める投資家の理解を得られるとはとうてい思えない。「数値目標を重視する経営から価値目標への転換」などと、章男社長をトコトン、ヨイショする記事を書いた全国紙の編集委員がいたが、経営(の成果)というのは、せんじ詰めれば数字なのである。数字が経営者の能力を映す鏡である。

 彼が絶えず口にする「いいクルマ」のイメージはどんなものなのか。具体的には富士重工業と共同開発した小型スポーツ車「86(はちろく)」を指しているのだろう。「86」は章男プロジェクトと言われている。

 2月2日、千葉・幕張メッセで、新たなスポーツカルチャーの夜明けを祝うと銘打ったイベント「86 Opening Gala Party」を開催した。ステージ上では「86」のライトニングレッドのモデルがお披露目され、運転席から、レーシングドライバー”モリゾウ”こと章男社長がレーシングスーツ姿で登場した。「ここ10数年の間に、トヨタのスポーツカーは次々とドロップ(市場から消えたという意味だろう)。私たちはそのことを真摯に反省し、86の開発を進めてきた。86はドライバーと語り合い、ともに進化できるクルマに仕上がった」とあいさつした。彼は国際C級ライセンスを取得し、”モリゾウ”というハンドルネームで度々、ドイツ北西部で開催されるニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなど、モータースポーツ愛好家として知られている。

 だが、章男社長が入れ込んでいる「86」の国内販売目標は、年1万2000台にすぎない。年1万2000台を売るだけなのに、アフターサービス店の「AREA(エリア)86」を全国展開する。「クルマの楽しさを演出し、顧客とのつながりを深める」のが狙いだ。「脱・売り切り」を掲げ、台数至上主義の販売手法に一石を投じる、と親トヨタのマスコミからは高い評価を得たが、トヨタから台数至上主義を除いたら何が残るというのだ。

 発言や経営者として行動株式を見る限り、脇の甘さが目立つ。「ただのクルマ好きが道楽で自動車メーカーのトップが務まる時代ではない」という時代認識が、章男社長には欠けているように映る。豊田家の御曹司である章男社長は周囲をイエスマンで固め、苦言を呈する骨のある役員は経営陣に一人もいなくなった。「ブレーキのないスポーツカー」になっているとすれば、それは大変危険なことだ。

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