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生え抜き組が社長・会長就任の人事の裏側

それでもJTは財務省の天下り企業にされる!?

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 橋本政権は大蔵省への権限集中を排除し、財政と金融を分離する大方針を決定、大蔵省を財務省と金融庁に分割する道筋をつけた。大蔵省を解体した橋本派と波長が合わなかった涌井氏は、小泉首相に接近。官界・政界への人脈を生かして小泉政権を陰で支えた。なお、郵便貯金を厳しく批判した小泉首相は、もともとは大蔵族の議員だったことはあまり知られていない。

 小泉首相は、次官OBなどが特殊法人へと天下りするのを制限する方針を示していたが、協力した人物はきちんと処遇した。これがまさに小泉流人事の要諦だ。涌井氏がJT会長のポストに就いたのは、「郵政民営化に協力した『論功行賞』」(永田町筋)といわれた。大蔵の接待スキャンダルで退官したエリート官僚たちのなかで、涌井氏だけが復権できたのは、小泉政権と近い、絶好のポジションをキープした政治力の賜物だった。

 時の政権がJTのトップ人事に介入できるのは、民営化したとはいえ、政府(名義上は財務大臣)が現在も、JT株の50.01%を保有する筆頭株主であるからだ。JTは財務省の子会社と考えればわかりやすい。子会社の首脳人事を決めるのは親会社だ。

 85年に日本専売公社が民営化されJTが設立された。JTの経営トップは旧大蔵OBが占め、有力な天下り先と言われてきた。初代社長の長岡実氏や4代会長の小川是氏(現・横浜銀行会長)のような事務次官経験者を含め、現在の涌井氏まで計5人が社長、会長に就任している。水野勝氏(元国税庁長官)は社長・会長の両方を経験している。

 水野氏は「生え抜きの人材が育った」として2000年6月、本田勝彦氏を社長に据えた。すかさず、財務省は事務次官OBの小川是氏を顧問に送り込み、1年後、会長の椅子に就けた。04年6月、小川氏の後任として涌井氏が会長に就任。会長は小川・涌井の旧大蔵省出身者、社長は本田・木村の旧専売公社出身者と棲み分けが続いた。社長、会長ともに旧専売公社出身の生え抜き幹部が就くのは初めてのことだ。

新人事で、財務省の手から逃れられるのか?

 財務省が天下りポストを失うきっかけになったのは、東日本大震災だった。政府・民主党は東日本大震災の復興財源を捻出するために、JT株の一部を売却する方針を打ち出した。政府は発行済み株式の50.01%にあたる500万1345株を保有しているが、今年度中に持ち株比率が3分の1程度になるまでJTの株式を売却して、5000億円を得る考えだ。計画だと先ず、167万株を売り出す予定となっている。

BusinessJournal編集部

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