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マスコミは黙殺し、本人は黙り続ける「社会的問題」

“河本準一・生活保護不正受給疑惑”に切り込んだ、片山さつきの狙い

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――河本氏の件を通して、そうした問題を提起し、是正していこうということですね。

片山 ええ。河本氏個人を批判や攻撃するのが目的ではありません。あくまで生活保護の支給に関わるルールを、適正な形に改正するというのが議員としての仕事であり、目的です。生活保護制度というのは、本人が生活困窮者だとしても、面倒を見てくれる経済的余裕のある親族がいる場合は、その立場の方に積極的に義務を果たしてもらうというのが原則で、この原則なくして制度は成り立ちません。河本氏は年収が3000万〜5000万円ともいわれていますから、親やその他の親族に仕送りができないはずはないというのが一般的な見方でしょう。ところが、そうした点を実態調査するはずの自治体が、人手不足もあって非常に甘い体制で運営されているというのが実情です。結果、2000億円ともいわれる、不適切な支給が全国にはびこっている。今回は、その意味で極めて象徴的な出来事ということです。

――河本氏には、母親に対する扶養義務もあるし、経済的余裕もある。親子関係を絶縁しているわけでもない。この点を見れば、明らかにおかしいと思います。

片山 河本氏は社会的影響力を持った立派な公人だし、彼は母親を話のネタにしたり、自著に登場させたりするなどしてきた。公に対して責任を持つ立場なのに、今回の件に関して、いまだ本人から説明がない。客観的状況を見ると、不正受給をしていたとのそしりを逃れないでしょう。外形的事実を見れば、親子関係は極めて良好で、河本氏自身も、苦労して育ててくれた母親への感謝の意を公言している。にもかかわらず、吉本の説明では、金銭的に苦しくて仕送りが十分にできないのだという。では、感謝はしているけど、恩は返せないということなんですか。年に数千万円稼いでも、母親の生活費は出せないというんですか。高額所得者の息子が親の面倒を見ないというのは、日本人の倫理観、道徳観としてもどうなのかと。この形を公に認めてしまったら、日本人の家族の絆もバラバラになってしまいますよ。我々(自民党)は保守政党ですから、そうした国家を支えるための価値観も重視しているんです。ただ、河本氏は母親に対して、旅行に連れていってあげたり、プレゼントをしたりしているようですから、母親と絆がないということではなく、要は自分たちのことしか考えていないということなのでしょう。

――片山議員がこの問題を取り上げたことで、吉本サイドから何か反応はありましたか。

片山 吉本の代理人の弁護士と名乗る方からは、電話をいただきました。いろいろと説明してくれたけど、到底納得できる内容ではなかったですね。例えば、河本氏には母親以外にも扶養しなければならない親族がいて、その親族は海外で治療を受けなければならない病気だから、お金がかかるとか。それが本当なら大変なことだとは思いますが、受給を正当化する理由にはならないんです。そういう緩い説明を弁護士は延々としてくれました。だから、少なくともあの時点で弁護士は、問題の重大さを理解してなかったんでしょう。

――あえてお聞きしますが、「問題の重大さ」とは?

片山 河本氏の親族で生活保護を受けているのは、母親だけではないそうです。その母親らは7〜8年にわたって支給を受けているようなので、支給総額は1000万円規模になる可能性もある。これがすべて不正受給となれば、生活保護法第63条の返還命令に従って、全額返還義務が生じる可能性もありますし、悪質な場合には3年以下の懲役や30万円以下の罰金という罰則もあるという違法行為なんです。それに、河本氏は生活保護について、後輩芸人に「タダでもらえるなら、もらっておけばいい」などと発言したといわれていますが、これが本当なら、犯罪の教唆に当たりますよ。こうした言動に対する河本氏本人や吉本側からの説明がいまだにありません。それと、名前は言えませんが、2人の代議士が私のところに電話してきました。吉本側から「片山の様子をうかがってきてほしい」と相談を受けたということなのかなと思ったので、その議員にも言ったんです。「吉本興業という会社は、日本の強みである優れたコンテンツを海外に輸出できる数少ない優秀な企業だと私は思っている。それだけに、こうした問題への対応を間違えれば、国民からは他の芸人さんたちも同じことをしていると疑われますよ、そういう会社だと見られますよ、それでいいんですか」と。そしたら、その議員は黙っていましたけどね。

――今後は党として、この問題を掘り下げていく予定はありますか?

片山 自民党では、世耕弘成参議院議員が座長となって、生活保護に関するプロジェクトチームを立ち上げていますが、私も一緒にやっていこうということになっていて、世耕議員も今回の件にはかなり関心を持って、ツイッターなどで発言してますよね。すでに関係機関からの意見聴取や地元の自民党市議団を通した市への調査などが進んでいます。このプロジェクトチームは自民党の正式な機関ですから、今回の問題については、党として正式に動き始めていると考えてもらって結構です。吉本興業の関係者が今度あらためて、私と世耕議員のところに説明に来ることになっているのですが、その説明や対応があまりにひどいようなら、国会質問も考えないとならないでしょう。それと、最新の情報では、河本氏の母親は、5月の保護費の受給を辞退したといいますが、過去の受給についての疑惑が晴れたわけではありません。辞退したということは、受給に問題があったことを認めたと受け取れますしね。政府与党にしたって、あまりにいい加減な対応をすれば、国民からの批判が大きくなることはわかっているはずです。何度も言いますが、今回は特定の個人や会社の責任を追及することが狙いなのではなくて、制度を改善して、不適切な給付状況を改善することが我々の目的です。そこを誤解しないでもらいたい。ただ、それだけに、河本氏の問題をあいまいに終わらせてはいけないんです。
(構成=浮島さとし)

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●片山さつき(かたやま・さつき)
参議院議員。参議院副幹事長。”影の内閣”経済産業副大臣。東京大学法学部卒業後、大蔵省に入省。女性で初めて、主計局主計官に就任する。2005年、自民党公認で衆議院総選挙に出馬し、当選。09年、同選挙に出馬し落選するも、翌10年の参議院議員通常選挙に比例区から出馬し、党内最多得票で当選。
http://www.satsuki-katayama.com/

BusinessJournal編集部

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